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1986 年度 実績報告書

考古遺物の埋蔵環境における変質現象に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 60300026
研究機関東京国立文化財研究所

研究代表者

江本 義理  東文化財研, その他, 研究員 (40000442)

研究分担者 町田 章  奈良国立文化財研究所, 平城発掘調査部, 部長 (90000471)
門倉 武夫  東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (10000457)
竹田 満州雄  東邦大学, 理学部, 教授 (80011633)
池本 勲  東京都立大学, 理学部, 教授 (00011601)
一國 雅巳  東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (20005804)
キーワード金属製考古遺物(青銅器,鉄器) / 埋蔵環境 / 変質現象 / 腐食生成物 / 物質移動
研究概要

1.海底埋蔵環境について、北海道・江差の開陽丸遺物発掘現場で、海底に存在する大型船体に対する海棲キクイムシ,フナクイムシの食害対策として行ったビニールシートで蔽った区域で、環境因子を測定した結果、シート内は、外に比して海水の溶存酸素量、ヘドロの硫酸塩還元菌数、S【O_3】その他が還元的であった。4ケ月経過した程度のシート内であったが、海底における埋蔵環境の化学的状態変化が、割合に短期間で変化することが判明し、興味深い。
2.鉄器さび層内の銅の存在について 福岡県・原田遺跡出土,銅鏡の釼部分にさびついた鉄器のさびの小破片について、Electron Microprobe分析を行った。直径8mm程の塊で、それぞれ、赤鉄鉱,磁鉄鉱が主成分と見られるベンガラ色及び暗褐色を呈する部分の、Fe,Cu,Si,Al等を定量した。ベンガラ色部と暗褐色部ではCu/Feが異り、後者は前者の3倍程で、Cu量が大きい。この値を従来の出土鉄器に含まれるCu量で、Cu/Feを比較すると約1000倍となり埋蔵環境において、銅イオンの移動、沈着が考えられる。また暗褐色部の破断面にSnを主成分とする0.2X0.3mm程の塊の点在する部分があり、Sn【O_2】として73%、CuO:5.1%と測定され、Cuが濃縮されていた。これらは鉄器の腐食過程で、附近の青銅製品の成分元素の沈着を示している。
3.青銅製品の成分元素の移動。埋蔵環境で青銅器の成分の溶脱による,イオンの移動距離を知るための試料として、かめ棺内の銅剣の下に溜った小土層を入手することができた。(福岡県・須玖岡本遺跡出土)ミクロ蛍光X線分析により、上記土層の切断面について、2.5mm間隔で、銅剣に附着した表面から垂直方向に0.5mm毎に、Cu,Pb,Fe,Tiを定量し、分布を見た。Cuは5mm、Pbは3mm程度と、粘土質の土のためか 移動距離は短かった。バックグランドの検討が必要である。

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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