研究分担者 |
沖本 克己 花園大学, 文学部, 助教授 (30103253)
柳田 聖山 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60066321)
鷲阪 宗演 花園大学, 文学部, 助教授 (20066343)
小林 圓照 花園大学, 文学部, 教授 (60066339)
西村 恵信 花園大学, 文学部, 教授 (40066337)
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研究概要 |
禅仏教の現代的課題を尋ねるに当り, 分野別に四つの研究班を構成した. 差別問題研究班と禅宗儀礼研究班と禅宗史研究班と禅と現代思想研究班とである. その目的は禅仏教を多彩な宗教現象として認識し, 従来学的研究の分野としては等閉視されがちであった禅宗教団の現場の実際的諸問題をも視野に入れ, もって現代的課題への回答を摸索する場を構築することにあった. さて最終年度である本年は従来の研究の総括に重点が置かれた. 従来, 集中的にとりくんだ資料蒐集は関連書籍の購入と野外調査が主たるものであった. 全てをカバーすることはもとより不可能であるが, 野外調査によって地方寺院の直面する諸課題が明らかになった. それらは教団分布の地域性と歴史的・思想的課題が交差し, 儀礼の再評価の問題を含め, 多様性を示しているが差別問題を柱とすることによって現場の仏教学の方向が略, 見通し得るとの結論に達した. これらは三度にわたって行なわれたシンポジウムでも確認された. そこでは各研究班から研究経過と問題提起が発表された. 歴史・思想といえども現代の諸課題から遊離せず, そうした視点から新たな禅宗史・思想理解への期待が高まった. 特に第1回シンポジウムにおける本覚思想批判, 民族仏教論の主張は本研究にとって非常に有効であった. 即ち教団の差別体質と本覚法門における現代容認の発想が密接に関連しており, これらは如来蔵思想批判に到るというのである. 本覚理解をめぐっては活発な議論が行なわれ, にわかには結論の出るものではなく, またその必要もないが, 土着仏教の変容の問題と共にこうした課題を念頭に置きつつ具体的事実としての禅宗史およびその現状に立脚点をおいて, より具体的な資料の蓄積と分析及び情報交換によって, 秀れた成果を挙げんことを期している. なお本研究の成果をとりまとめて公刊することを最終目標としており, そのための準備も進行中である.
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