研究課題
総合研究(A)
2年間にわたり、「父子関係に関する発達的研究」をおこなった。調査対象となった子どもの年齢は、幼児から青年におよんでいる。得られた結果の概要は、つぎのとおりである。1.2〜3歳児を対象に、ストレンジ・シチュエーション場面での観察によると、2〜3歳の幼児は父親に対する愛着をもっている。しかし、2歳児は母親に対しより多くの愛着を示すが、3歳児になると母親に対するのと同程度の愛着を示す。なお、2歳児であっても父親と見知らぬひとの区別はできあがっている。2.幼稚園児を対象とした、父母子の三者関係の観察によると、父親は課題志向的で子どもに対し精密コード的な指示を与える。それに対して母親は、制限コード的な発言が多い。また、それぞれの父親と母親の子どもに対する行動は、かなり類似したものであった。3.幼稚園児を対象とした達成動機と両親の養育態度の関係であるが、達成動機の高い子どもの父親は子どもが成功したときに、具体的な強化を与えている。抽象的な強化や無強化の父親は少ない。4.大学生を対象とした質問紙調査によると、男子は父親に満足しているものが多く、女子は母親に満足しているものが多いなどの結果が得られた。5.単身赴任家族の調査結果から、単身赴任家族の安定度を測定する尺度を作成した。以上のような結果が得られたが、この2年間に収集した資料は莫大である。今後さらに分析検討をつづけ、意味のある成果を各方面に発表していくつもりである。