研究概要 |
社会の高度技術化, 情報化に対応する人間のあり方を実証的に究明する本研究は1)職場における高度技術導入の心理学的影響とそれが職場の活性化, また働く人たちの不適応, ストレスをもたらす要因の解明2)子供の遊びにおけるコンピューターゲームの心理学的影響3)教育におけるコンピューター利用の効果性に関わる条件の探索の3領域からなっている. 1)職場の諸状況要因と高度技術導入による諸変化要因についての相関分析, 重回帰分析などの結果から, 職場の活性化に対しては仕事についての教育・訓練, 上司の部下への配慮性, 個人的接触, 仕事の面白さ, 達成感が, また不適応・ストレスに対しては上司の指示的行動, 個人的接触の多さという人間的, 人間関係的要因の重要性が見出だされた. また管理・監督者のストレスにつき, リーダーを関係動機型と課題動機型に分類し, それと職場状況の統制度との組み合わせにより, リーダーのストレス・マネジメントにおけるリーダー・マッチが示唆された. また高度技術作業の遂行が作業者の主観的時間知覚の短縮をもたらすという仮説を実験室的に検証し, この視点からの職務設計が示唆された. 2)子供の世界に対するコンピューターの影響につき, コンピューターゲームを長時間行う群とゲーム未経験群との比較調査の結果, 長時間ゲーム群は暴力的傾向, 現実遊離, 機械信仰, 機械優越感, 支配感, 主観的時間知覚の歪みなどが見出だされた. またコンピューターゲームは対面的接触の多い遊びとを対比する実験室的実験により, ゲーム群で緊張, 不愉快, 沈黙志向, ボンヤリ感, イライラ感がみられ, ゲームの休憩中の会話も少なく, ゲームの進行につれて行動が荒々しくなることがみられた. 3)教育におけるコンピューター利用, 企業で高度技術を積極的に導入しようとしている人たち, また将来高度技術職に就こうとしている人たちについて意識調査を行った.
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