研究課題
都市家族の世代間関係とくに親世代と既婚子世代との細帯がイエの変容過程にあって、どのように変容しつつあるかを明らかにしようというのが本研究の目的である。親との同居および既婚子との同居については、長男との継続的同居は崩れつつあり、娘との同居の比率の高まり、若年層の別居志向などに変化が現われている。しかし、世代間の交流は決して低下しているとはいえず、訪問・電話・互助・サーヴイス交換全搬に及んでいる。近くに住んでいる者同志では直接的接触が頻繁になされている一方、距離の制約をうけている者にあっては盆・正月訪問、定期的贈答の交換などによって関係の維持につとめている。したがって、日常的接触を維持しえない者同志にあっては非日常的接触の手段によって補完されているといえる。ニーズ説はすべての相互作用項目に妥当するわけではない。親が既婚子と同居しているばあい、同居子との間で、経済的・身体的・情緒的安定欲求が充足されるので、非同居子との接触頻度が低くなるというニーズ説は電話によるコミュニケーション、不定期贈答の交換、結婚費用の援助などインフォーマルないし間接的接触領域の一部において成立している。世代間関係の非対称性について、近住説、愛着依存説、性別役割説、葛藤回避説、家規範説の五つの仮説を検討した結果、単一の仮説では説明しえない。一般的項目では、親との関係で長男との比較的濃密な接触がみられるものの、既婚子とは娘と近くに住み、娘とのサーヴイス交換が目立っている。伝統的規範の羽化とともに、長男優位は減退しつつあることは明らかである。これまで挙げた諸仮説が札幌だけではなく、仙台、福岡にも妥当するかを検証しようとしている。
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