研究課題/領域番号 |
60301020
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高橋 明善 農工大, 農学部, 教授 (80014926)
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研究分担者 |
町村 敬志 東京大学, 文学部, 助手 (00173774)
高田 滋 東北女子大学, 家政学部, 助教授 (50137478)
大内 雅利 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (60147915)
似田 貝香門 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40020490)
山本 英治 東京女子大学, 短期大学部, 教授 (50086261)
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キーワード | 農民意識 / 家族 / 部落 / コミュニティ / 共同体 / 自作農 / 本分家 / 農村構造 |
研究概要 |
1.農民意識調査の15年前、30年前調査と今回調査の比較のための調査データの整理、基本分析を完了し、報告書とりまとめの段階に入っている。意識変化は大きいが、全体として、伝統を保持しながらの変容である。農村内の社会的緊張が弱まることによって、伝統を積極的に評価する志向が強まっている。たとえば、家族に関して強固な家観念は弱まり、各世代の生活分化は進んでいるが、複数世代夫婦同居による直系的家族形態は基本的に支持されており、本分家や部落の社会関係への期待は過去に比して強まっている。國家主義や工業・貿易振興への期待は弱まり、農本主義的志向や生活志向が強まると同時に、民主主義への期待が新しい伝統として定着してきている。今後、多変量解析の手法を用いて認識を深めたい。 2.秋田、岡山の大規模意識調査実施地区での農村構造の変動に関する補充調査を実施した。また、過去の調査地区の追跡調査を実施した。調査地区は、滋賀、新潟(北蒲原,糸魚川)、山形、岩手である。高成長期の激動は、生産、生活、社会構造上の混乱をひきおこしたが、どの地区でも伝統をふまえて変化に適応し、相対的安定期を迎えたあと、近時、低成長、円高、農政後退、自作農制の危機の深まりの中で、さらに大きな変動に直面しようとしてきている。対応形態はそれぞれに異なると同時に共通する面ももっている。農業面では、中核農定中心の生産組織型、個別経営の小規模共同型、小農複合型、小規模高令者農業型、兼業型、中核農家への土地集積型など多様な展開が見られる。どの地域でも、かつての生産中心の共同体型共同性に代って、生活中心のコミュニティ型共同性を強めているのが一般的であった。こうした共同性の再形成の不十分な地域や過疎地域には農業・農村の荒廃化が拡がっている。
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