研究課題
総合研究(A)
1.ソ連は1984年4月に長期的展望に立った教育改革の導入にふみきり、現在「改革の基本方針」(「普通教育学校ならびに職業学校の改革の基本方針について」)に基づく改革を具体的に進めている。本研究は、今回の改革の理念・実態等を総合的に解明することを目指したものである。2.このため初年度においては、改革決定後の動きを、主要論文あるいは諸決定などによって追うことにし、具体的には、改革直後(1984〜85年)の主要文献の翻訳、解説を中心に研究を進め、中間報告を作成した。3.第2年次は、初年次の研究をさらに深めると同時に、研究分担各自の専門性と関心に基づき、今回の改革の性格・特徴を浮き彫りにする作業を行い、改革の意味を探ろうとした。この過程で、大学制度の改革についても検討する必要が生じ、この研究も並行して進めることにした。なおこの研究成果は、「ソ連の教育改革に関する総合的研究ー教育改革の理念・実態・課題ー」としてとりまとめた。4.本研究により、今回の教育改革の目的、制度上の変革、内容・方法上の諸特質、改革実施上の問題点等を全般的に解明することができたが、改革は現在進行中であるため、さらに新たな資料を入手し、その後の行方を探る必要性も生じている。5.なお、本研究で明らかになった主な点を列挙すれば次の通りである。(1)今回の改革は、戦後2度目の大改革であること、(2)後期中等教育段階での質的平等を求めるものであること、(3)個人の能力・適性を引き上げようとするものであること、(4)教育と労働をいっそう強く結びつけようとするものであること、(5)学校外活動を充実しようとするものであること、(6)地域社会の学校への参加を促すものであること。以上。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)