研究概要 |
関西方言の動態を総合的に解明することを目的として、研究領域を以下の1〜3に分け、研究連絡会議を行なった上で、分担者をそれぞれに配置して全体的な統一をとりつつ調査研究を展開した。 1.関西中央部における言語体系、言語運用の変容の記述(1)京都市および大阪市域において、生え抜きの方言話者を対象に、待過表現関係の語彙,表現法を収集,整理分析した。(2)関西型の通称地名の変容を把握するための通信調査を実施。データを分析,地図化した。 2.関西方言の話し手および関西の若い層における言語使用と言語意識の様相把握(1)関東(東京・埼玉)に在住している関西出身者を対象に、関西方言に対する意識や方言使用の実態を調査したデータを分析。報告書を作成した。(2)関西の若年層における新方言の運用状況の調査資料を分析した。 3.関西中央部の言語勢力の周辺地域への波及状況の追究(1)三重と愛知の県境地帯および滋賀と岐阜の県境地帯において、老若二層を対象とした言語地理学的調査を実施。得られた資料を整理分析した。(2)60年度までに得たデータの解析を継続。また改たに、奈良-新宮間,京都-豊岡間,神戸-鳥取間等において詳細なグロットグラム(年齢X地点)調査を実施。データを関西中央部の言語勢力の波及という観点から整理検討した。 なお、これらの研究成果は、昭和62年5月に大阪で開催する「公開研究報告会」において発表する予定である。
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