研究分担者 |
高津 斌彰 新潟大学, 教養部, 教授 (10018583)
栗原 尚子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80017623)
佐藤 宏 アジア経済研究所, 調査研究部, 研究員
金坂 清則 福井大学, 教育学部, 助教授 (00092825)
山本 健児 法政大学, 経済学部, 助教授 (50136355)
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研究概要 |
1.世界各地の都市におけるセグリゲーションは、まず何よりもそれぞれの社会諸集団の都市定住の歴史的過程に大きく規定されており、また国家権力と各集団との関係によっても左右される。 2.各社会集団を形成する契機は決して単一ではない。ある個人はそれぞれ異なった自己認識により複数の社会集団に帰属するのが普通である。ある社会集団がセグリゲーションと結びつくかどうかは、その社会集団をとりまく政治的,社会的,経済的諸条件による。 3.社会的セグリゲーションと空間的セグリゲーションとは必ずしも一義的に結びつくものではない。しかしながら、前者を前提とする空間的セグリゲーションのみが、政治的,社会的問題となる。また、後者の存在は往々にして前者を増幅,強化する。 4.空間的セグリゲーションは必ずしも社会的な弱者や少数者集団のみと結びついているわけではない。社会的に優位にある社会集団が他者を排除するために自らを空間的に隔離している例もある。 5.以上のような点からみて、世界各地の都市におけるセグリゲーションについては、ある程度地域毎の類型化が可能であろう。例えばアフリカやオセアニアにおいては部族が基本的な社会集団であり、都市化の歴史が比較的浅いために、空間的セグリゲーションは比較的稀薄であるか、またはほとんど認められない。他方南アジアではカースト制度の存在によってセグリゲーションはきわめて複雑な様相を呈する。 6.こうした地域的類型化のより一層の精緻化,および都市の空間構造と空間的セグリゲーションとの関連の地域的差異,歴史的過程の解明が、今後の研究の主要な課題となろう。
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