研究概要 |
本総合研究は, 赤色巨星に関する基礎的研究を推進すると共に, 赤色巨星に関連する種々の問題を研究するいくつかの研究グループの協力体制を作り上げ, これらの研究成果を総合的にまとめることを目的とした. 特に62年度は本総合研究の最終年度にあたるため, かねて計画していたように今までの研究成果を総合して, 赤色巨星における物理過程と化学進化についての統一的な理解を得るべく, 分担者のみならず関連分野の研究者の参加も得てシンポジウムを行った. そこで議論されたテーマは以下の如くである: 1.赤色巨星の大気構造, 化学組成 2.赤色巨星の彩層及び外層大気 3.銀河系及び銀河における赤色巨星 4.外層大気における分子過程 5.赤色巨星周辺におけるダスト形成 6.赤色巨星の内部進化及び質量放出 このシンポジウムにより, 特に赤色巨星の分光解析から明らかにされた化学組成と進化理論の比較検討から赤色巨星の初期段階については観測と理論は比較的よい一致は示すものの, 赤色巨星の最終段階(AGB)に於ては尚観測と理論の不一致が大きいことが明らかにされた. 又, 最近の紫外から赤外ミリ波にわたる外層大気に関する観測の進歩により, 赤色巨星外層の多様で複雑な階層構造が明らかにされ, 質量の放出を伴う赤色巨星の進化を解明する上でかなりの見通しが得られた. 尚, 詳しくは最終報告書を兼ねたシンポジウム集録にまとめられている. これらのほか, 3年間を通じて観測旅費, 観測補助に対する謝金, いくつかの小研究会, ワークショップ等の開催費用等に研究費を使用し, これら研究活動は支障なく行なわれた.
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