ハドロン多体系とクォーク多体系

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 60302018
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 玉垣 良三 京大, 理学部, 教授 (30027338)
• 研究分担者: 清水 清孝 東京大学, 理学部, 助手 (00143363) ; 高木 修二 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (10029390) ; 安野 愈 名古屋大学, 理学部, 教授 (30022544) ; 土岐 博 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70163962) ; 池田 清美 新潟大学, 理学部, 教授 (40011548)
• キーワード: クォーク自由度 / 中間子効果 / カイラルバッグ / スキルミオン / 核力 / 高密度核物質 / 多体論 / 高速重イオン反応

研究概要

本研究課題の2年目にあたり、下記の主要テーマについて研究を進めると共に、強相互作用多体系におけるハドロン自由度とりわけ中間子効果とクオーク自由度の相補的役割の解明を共通的な課題に据えて研究の総合化をはかった。
1.バリオンの構造:カイラルバッグの立場から、Π中間子場があるときバッグ内真空の効果を含むクォーク系の変化の追究、W中間子を考慮したカイラルバッグの性質、フレーバーSU(3)へのスキルム模型の展開等の研究を行い、バリオン描像をより現実的にした。
2.核力:ハドロンのカイラル非線型シグマ模型として、高次微分項を含むスキルム模型を用い、N-N,N-△相互作用を導いた。従来のクォーククラスター模型の研究を一層発展させ、核子-ハイペロン及びハイペロン間の相互作用の特徴を明らかにした。
3.核内での中間子とクォークの効果:核内における中間子の量子効果の核内有効相互作用への反映,Π中間子の核内吸收過程における3体効果,核子流の相対論的効果,Π中間子流の非静的効果,核内でのクォーク交換の効果等について重要な知見がえられた。
4.核物質と高エネルギー重イオン核反応:高温核物質の諸特性とりわけΠ゜凝縮の発現機構と転移密度が求められ、高エネルギー重イオン反応での発現が検討された。また平均場近似で高密度核物質を扱い量子揺動効果を入れるとΔの効果の重要性が示された。
5.ハイパー核:生成,構造,崩壊について、クラスター模型に基づく研究が進展した。原子核にストレンジネスが持込まれた場合に、核子系と本質的に異なる様相がどう現れるかという状況がかなり明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] S.Saito: Progress of Theoretical Physics. 75. 68-83 (1986)
• [文献書誌] T.Otofuji: Physical Review C. 34. 1559-1570 (1986)
• [文献書誌] A.Hosaka: Physics Letters B. (1987)
• [文献書誌] S.-I.Yoro: Progress of Theoretical Physics. (1987)
• [文献書誌] M.Oka: Nuclear Physics A. 464. (1987)
• [文献書誌] Y.Koike: Nuclear Physics A. 454. 509-526 (1986)
• [文献書誌] H.Odawara: Physics Letters B. 175. 115-119 (1986)
• [文献書誌] Y.Koike: Physics Letters B. 179. 332-336 (1986)
• [文献書誌] O.Miyamura: Physical Review Letters. 57. 2123-2126 (1986)
• [文献書誌] T.Ueda: Physics Letters B. 175. 19-22 (1986)
• [文献書誌] T.Ueda: Progress of Theoretical Physics. 76. 957-962 (1986)
• [文献書誌] S.Takeuchi: Physics Letters B. 179. 197-200 (1986)
• [文献書誌] A.Arima: Physics Letters B. 183. 131-134 (1987)
• [文献書誌] T.Kohmura: Nuclear Physics A. 449. 729-749 (1986)
• [文献書誌] T.Kohmura: Nuclear Physics A. 456. 733-746 (1986)
• [文献書誌] S.Nozawa: Nuclear Physics A. 453. 645-684 (1986)
• [文献書誌] H.Otsubo: Proceedings of Int.Symposium on "Weak and Electromagnetic Interactions in Nuclei",. 816-821 (1986)
• [文献書誌] K.Tamura: Progress of Theoretical Physics. (1987)
• [文献書誌] K.Tamura: Progress of Theore tical Physics. (1987)
• [文献書誌] T.Kajino: Nuclear Physics A. (1987)
• [文献書誌] F.Iseki: Physical Review C. (1987)
• [文献書誌] E.Shiino: Physical Review C. 34. 1004-1011 (1986)
• [文献書誌] T.Yasuda: Progress of Theoretical Physics. (1987)
• [文献書誌] T.Takatsuka: Progress of Theoretical Physics. 77. 362-375 (1987)
• [文献書誌] H.Delagrauge: Zeitschrift f【u!¨】r Physik A. 323. 437-449 (1986)
• [文献書誌] M.Iwasaki: Progress of Theoretical Physics. 75. 1176-1183 (1986)
• [文献書誌] Y.Kitazoe: Physics Letters B. 166. 35-40 (1986)
• [文献書誌] T.Yamada: Nuclear Physics A. 450. 333 -338 (1986)
• [文献書誌] T.Yamada: Physics Letters B. 172. 149-152 (1986)
• [文献書誌] 玉垣良三: "物理学最前線15,高密度核物質" 共立出版株式会社, 83 (1986)