研究分担者 |
清水 清孝 東京大学, 理学部, 助手 (00143363)
大坪 久夫 大阪大学, 理学部, 助教授 (30029491)
安野 愈 名古屋大学, 理学部, 教授 (30022544)
土岐 博 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70163962)
池田 清美 新潟大学, 理学部, 教授 (40011548)
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研究概要 |
強く相互作用する多体系の研究では, ハドロン多体系としての側面とクォークから成る複合系の多体系としての側面の関連を意識して進むことが肝要である. 本総合研究においては, 個別課題の追究と共に, この両側面の相補性と論理的関係の解明を重視して取り組んだ. 以下に主要は成果を記す. 1.バリオンの構造:クォークの閉じ込めとカイラル対称性の要素を含むカイラルバッグ模型により, ベクトル中間子の効果, バッグ内真空の効果, 中間子場のソリトン描像をとるスキルム模型との関係を解明した. 2.核力:クォークの複合性を強調するクォーク・クラスター模型をストレィンジネスをもつバリオン間の相互作用の記述に発展させると共に, 原子核中のクォーク交換効果を検討した. またスキルム模型を用いた核力の記述を発展させた. 更にカイラルバッグ模型による核力の研究に見通しを得た. 3.原子核における相対論的効果, 交換流効果:原子桂をバリオン・メソン多体系として記述する立場から, 負エネルギー状態の効果を含む相対論的効果を明らかにすると共に, 核力と交換電流を統一的に扱う微視的理論を発展させ重陽子の電子分解反応に適用し, その有効性を示した. 4.核物質の諸相:介凝縮中性子星の模型を構築して中性子星の冷却, グリッチ, ニュートリノ・バーストの諸現象に新しい視点からの記述を与えた. 高エネルギー核衝突, 中性子星形成時に現れる高温核物質の諸特性を与える理論を目指して, 有限温度における核物質の理論を発展させた. 5.高エネルギー核衝突:ハドロン動力学の展開の一つとして, 改良したカスケード模型によるサブGeV現象の説明, 阻止能の説明を行った. 6.ハイパー核:^9_ABeの現存データーの再現と予言, ^9_ΣBeの励起構造に対する荷電結合模型の提唱を行い, ハイパー核の生成, 構造, 崩壊に関する理論分析を一層発展させた.
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