研究課題/領域番号 |
60302021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 邦男 東大, 教養部, 教授 (40012314)
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研究分担者 |
谷川 庄一郎 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (90011080)
兵頭 俊夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90012484)
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80005975)
中山 康之 立命館大学, 理工学部, 教授 (40027040)
末岡 修 東京大学, 教養学部, 助教授 (00012378)
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キーワード | 低速陽電子 / 粒子ビーム / 陽電子減速材 / 電子ライナック / 電子対創生 / 表面物性 |
研究概要 |
本研究は、電子ライナックを用いて加速した電子線を金属標的にあてて、電子対創生により陽電子を発生せしめ、それを適当な減速材を用いて減速せしめて強力な低速陽電子ビームを作成すると共に、それを用いて表面や空隙等の物性研究を行なおうとするものである。本年度は、主として次の2つの方向にそって研究をすすめ、それぞれの面で重要な成果をあげた。 1.低速陽電子ビーム作成上の諸技術の改良・開発2.低速陽電子ないし低速ポジトロニウムを用いた物質表面およびボイド等の研究(放射性同位元素からの陽電子利用)。先ず前者についてのべる。電子ライナックからの高速電子はパルス状であるため、得られる陽電子ビームもパルス状となり、このままでは測定器のパイルアップが起って折角のビーム利用も極く限られたものになる。それを解決する方法として谷川等は電場と磁場を組み合わせた直線ストレージ法を考案し、そのテストのために電子を代りに用いたストレージ実験を行ない、この方法が実用になることを実証した。末岡らはビームの輝度増強装置を作る際に必要となるガイド用磁場効果テストを行ない、実際の配置条件でビーム強度損失を50%程度に押えうる見通しを得た。中山は1次陽電子の減速材の改良に取り組み、W単結晶薄膜を蒸着法により作成する技術の開発に挑んでいる。 次に後者についてのべる。谷川は低速陽電子を用いて金属中に注入されたHeの深さ分布やボロン、燐等をイオン注入したシリコン中の照射欠陥の深さ分布の測定等を行なってこの手法の有用性を実証した。長谷川は低速ポジトロニウムが金属中のボイドの重要な研究手段となることを示し、兵頭らもPs原子衝突に関し開拓的な研究を行なった。
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