研究課題/領域番号 |
60302029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
魚住 悟 北海道大学, 理学部, 教授 (20000763)
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研究分担者 |
木村 学 香川大学, 教育学部, 助教授 (80153188)
岩田 圭示 北海道大学, 理学部, 助手 (60002226)
君波 和雄 山口大学, 理学部, 助教授 (20127757)
坂上 澄夫 千葉大学, 理学部, 教授 (40002521)
岡田 博有 靜岡大学, 理学部, 教授 (60037182)
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キーワード | 日高累層群 / 日高造山運動 / 付加体 / オリストストローム / 放散虫生層序 / 白亜紀構造運動 |
研究概要 |
本年度は前年度確認した日高帯西縁に沿って顕著に発達する白亜紀前期の含オリストストローム帯の空間的な拡がりと、オリストストロームの形成時期・地質構成などを明らかにすることを主目的に調査・研究を行った。野外調査は日高帯南部の幌別川,靜内川,ユートラシナイ沢川の流域、および道北の枝幸山地に分布する"日高累層群"を対象とした。 この結果、日高西縁帯を特徴づける含オリストストローム帯の分布は、上記の調査地域全域にわたっており、その形成時代もすべて同時期(前期白亜紀)であることが確められた。文献によれば、この含オリストストローム帯はさらに東サハリン山脈へと追跡され、これによって白亜紀前期のユーラシアプレート縁辺部收束境界の輪郭が一層明確になったと云える。さらに、この時期には、西南日本と比較すると、はるかに多量の海洋地殻物質の付加が起っていたことも明確になった。 一方、日高帯東縁部についても引き続き検討を加えた結果、白亜紀末における"日高累層群"の付加様式の一端が明らかとなり、西南日本の四万十帯などとの比較研究も可能となった。それによれば、日高帯においては陸源砕屑物が支配的であることから、堆積の場はより陸域に近く、海溝は陸源砕屑物によって埋積され、かつ海溝をこえて海洋側まで陸源砕屑物が運搬された可能性も指摘されている。 以上述べたように、日高帯に分布する"日高累層群"は白亜紀の付加体がその主体をなすものであることが判明し、その時代変遷と西南日本など他地域との比較検討が可能となった結果、よりグローバルな視点から、当時の日本列島をとりまくプレートの運動像および古環境,古地理などについてより明確に推定できるようになった。
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