研究分担者 |
岩田 圭示 北海道大学, 理学部, 助手 (60002226)
木村 学 香川大学, 教育学部, 助教授 (80153188)
君波 和雄 山口大学, 理学部, 助教授 (20127757)
岡田 博有 静岡大学, 理学部, 教授 (60037182)
中村 耕二 北海道大学, 理学部, 教授 (40000822)
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研究概要 |
従来ジュラ系を主体とし, 一部古生界を含むとされてきた, 北海道中軸帯に分布する日高累層群は, すべて白亜系であることが, 主に放散虫を用いた生層位学的研究によって立証された. ペルム紀〜白亜紀前期の石灰岩・チャート・緑色岩類等は, いずれも外来岩塊であることが判明した. 日高累層群は最近まで, 日高造山運動の舞台となった地向斜の堆積物であると考えられたきた. しかし, 本総研の研究結果からは, ユーラシア大陸東縁部の古太平プレートの沈み込みに伴って形成された, 白亜紀前期〜後期にかけての付加帯であるとみなされる. 中軸帯東部に位置する常呂帯の湧別・仁頃・左呂間の各層群も, かつてジュラ系と考えられていたが, 本総研による研究の結果, 湧別・左呂間の両層群は上部白亜系, 仁頃層群はジュラ系〜下部白亜系であることが明らかになった. また, 左呂間層群は前弧海盆堆積物, 湧別層群はオホーツク古陸周辺域の海溝充填堆積体, 仁頃層群は中生代海山の付加体であると考えられるに至った. さらに, 仁頃層群に含まれる石灰岩体の古地磁気学的検討の結果, それらが赤道付近の低緯度地域から運搬されてきたものであることが判明した. このように, 過去3年間にわたる本総研の研究により, 北海道中軸帯に分布する日高累層群をはじめ, すべての先第三系について, その地質時代・層序・堆積環境・地質構造およびその発達史等が明らかになり, 当初の研究目的はほヾ達成された. この結果, 従来の見解を大巾に変更せざるを得ないような新知見が数多く得られたことは, 大きな研究成果であったと満足している.
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