研究概要 |
従来電子回路を用いて実現してきた多種多様なエレクトロニクスの機能を光という広帯域で高密度な情報媒体によってさらに飛躍的に向上させるために, 光による情報の処理, 演算, 記憶などの光コンピューティング技術のシステマティックな構築が世界的に重要な研究・開発目標になりつつある. 本総合研究はこのような状況に対処するため, 我国における光エレクトロニクス, 光情報処理, 光工学分野の第一線研究者を結集し, 情報科学・工学の指導的専門家との緊密な協力のもとに, 光コンピュータの概念を総合的に追求して検討するとともに, 新しい光コンピューティングシステムのための演算原理, 構成方法, 要素機能などを開拓し, さらにそのための各種の光論理演算素子, 記憶素子, インテリジェントセンサなどを開発するための基礎的研究を行うことを目的として昭和60年4月より実施されたものである. 本総合研究には全国の国立, 私立大学および国公立の研究所, 研究機関より, 第1線で活躍する30名の研究者の参加を得て, 総括的に研究が進められた. 実施した3年間に国内各地で行った研究会を列記すると, 第1回(60.11)於東京, 第2回(61.2)於山形, 第3回(61.11)於大津, 第4回(62.3)於東京, 第5回(62.7)於新潟, 第6回(63.3)於東京の計6回である. これらの研究会には, 多数の国内の大学, 国公立研究機関をはじめ, 多彩な分野にわたる産業界からの研究者, 技術者の参集を得て, 極めて熱心な討論や活発な質疑応答が行われ, 非常に有用であったとの好評を得ている. 各研究分担者の研究成果は研究成果報告書として, 1)光コンピュータ用システム構成, 2)光コンピュータ用要素技術, 3)光コンピュータ用デバイスの3つの分野別にまとめている. これらの分野で新しい提案や実験など多くの見るべき成果が得られ, 今後の我国における本研究の進展の基盤が築かれたものと確信している.
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