研究概要 |
本年度は海底地盤の地すべり安定性を調べるため, 海底から採取した粘土の強度特性を調べた. 海底の堆積物は, 河川の土砂供給速度が大きくて圧密が追いつかない場合, 未圧密の状態で存在していることが多い. よって, せん断強度が小さく, 海底の勾配が数度程度であっても大規模な海底地すべりを生じることがある. このメカニズムを解明するためには, 圧密が完了していない未圧密粘土のせん断強度特性を知る必要が生じる. スラリー状の粘土を色々の程度の未圧密状態にしておき, 非排水せん断試験を実施した. その結果, 有効応力規準に従うなら, 未圧密粘土の内部摩擦角φは100%圧密された場合のφに等しいこと, 未圧密粘土のせん断時に発生する間隙水圧は, 100%圧密の場合より高いこと等が明らかとなった. 先年度, 清水港の海底地盤内に埋設した間隙水圧計により, 波浪伝播時の間隙水圧上昇の測定を行った. つまり, 海底面下2.5mと3.5mに埋設した間隙水圧計と, 海底面に置いた水圧計が波浪の伝播に伴ないいかなる応答を示すのかを観測した. その結果,波圧は水を通してのみ海底探部へ伝わって行くのではなく, 海底地盤内の土の骨格を通しても深部へ伝播していることが明らかとなった. これにより, 海底土が波圧の影響を相当程度受け, 従って, 地盤の安定性も波の伝播の影響を受けることが明らかとなった.
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