研究分担者 |
細田 裕 放射線影響研究所, 臨床部, 部長
志田 寿夫 珪肺労炎病院, 放射線科, 部長
舘野 之男 放射線医学総合研究所, 臨床研究部, 部長
宮道 寿一 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (50107166)
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研究概要 |
過去2年間の実績を踏まえ, 本年度は自動診断システムの開発を主目的として研究を進めた. 主な成果は以下の通りである. 1.ディジタルX線写真のデータベースの完成 FCR(Fuji Computed Radiography)によるじん肺症画像の収集につとめ, 専門医によリ確定診断を済ませた41症例のデータベース化を行った. これらはじん肺陰影密度の均一な部分が特定されており, 今後のFCR標準フィルムの作製の基礎となるものと思われる. 2.じん肺症自動診断法の確立 テクスチャ解析に基づく新しい陰影密度の計測法, およびじん肺陰影密度の個別抽出法に基づく2種類の方法, 合計3種類の手法について検討を進めた. 各手法ともILO標準フィルムに対して正常/異常分数で90パーセント程度, 大分類(0, 1, 2, 3型)で70%程度の診断率を達成した. これらは左右肺野をそれぞれ3分割した部分画像に対する診断率であり, フィルム全体に対する判定率は大分類でも80パーセントを上廻る診断率が得られることが確認された. 3.総合診断システムの開発 3年間にわたり検討を進めてきた自動診断手法はテクスチャ解析に基づくもの3手法, 陰影の直接抽出に基づくもの3手法の計6手法である. これらを統合することにより, より信頼性の高いシステムが期待できる. 事実, 濃度勾配ベクトル法とフラクタル解析に基づく手法との組合せにより10パーセント程度の診断率向上を確認している. 現在, 6種類の手法を組合せた総合診断システムの検討を進めているところであり, 近い将来システムを完成させ, 初期の目標を達成させる予定である.
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