研究分担者 |
三角 荘一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (40029830)
岡本 邦男 京都大学, 工学部, 教授 (90025841)
長倉 三郎 分子科学研究所, 教授 (30013444)
大木 道則 東京大学, 理学部, 教授 (40011407)
伊東 椒 東北大学, 理学部, 教授 (00004242)
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研究概要 |
2年間にわたる総合的な研究によって分子集団のいくつかの設計法が確立され、その相互作用と構造及び機能の相関性が解明され、この分野の今後の研究の発展に寄与する重要な指針が得られた。 弱い相互作用基づく分子集団の多くはホストーゲスト錯体化による方法で設計・開発された。多くのホスト化合物が分子設計され、多種多様のゲスト化合物とのホストーゲスト錯体を作り、その構造,相互作用,分子識別能が検討された。特にX線結晶構造解析法で究明された構造上の知見は新しいホストの分子設計とそれを用いる分子集団の設計に生かされ、多くの成果が得られた。ホストとゲスト化合物が錯体の分子集団を形成する場合には、両分子の平面及び立体構造に微妙に影響されることが判明した。この理由のために相互の分子識別が正確に行われ、物質の分離・精製や光学分割を能率良く行うことができた。それらの成果のあるものは工業化が検討されている。この分子識別を分子の動的挙動に応用することによって、分子の種々の動的挙動制御を行うことができた。例えば、ピリドンとヒドロキシピリジンの平衡混合物の内前者のみをホストに取り込ませて分子集団化させることができた。シクロオクタトリエノンの速い反転異性体の一成分のみの分離にも成功した。ホストーゲスト分子集団の固体状態での反応で、ゲストの立体,方向,不斉を制御することにも成功した。特に不斉反応制御による光学活性体の合成は価値が高い。 強い相互作用に基づく分子集団はシクロファン類,クラウンエーテル類,CT錯体及び金属や金属イオンが関与する分子集団の研究が行われた。相互作用場を組込んだシクロファンの研究では相互作用と歪との関係が明らかにされ、金属ポルフィリンを組込んだシクロファンでは代謝の際のヘム酵素反応の機構解明に重要な手がかりを得た。
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