研究分担者 |
矢内原 昇 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80046250)
桑田 蕃 甲南大学, 理学部, 教授 (90068057)
榊原 俊平 蛋白質研究奨励会ペプチド研究所, 所長 (50072765)
矢嶋 治明 京都大学, 薬学部, 教授 (00025678)
芝 哲夫 大阪大学, 理学部, 教授 (30028089)
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研究概要 |
生理活性を有する天然ペプチドは, 陸水産の動植物のみならず細菌にいたるまで広く, 自然界に見出され, 特に生体内で極めて重要な役割を担っていることが, 最近になり次々解明されている. 本研究は新しい生理活性天然ペプチドの有機合成および構造解析に関する研究を総合的にとりあげたもので, 以下に述べる課題について研究を展開した. まず天然生理活性ペプチドの合成研究では、イモ貝の毒w-コノトキシン、女郎グモ毒NST×-3、ラットGAP、ブタC5aアナフィラトキシン、抗生物質ナイシンなど、いずれも極めて複雑な構造を有する化合物の全合成に成功した。新しいペプチド合成の手法として、タリウム酸化によるシスチン含有ペプチドの合成法を開発した。また従来合成困難とされていたイミノジカルボン酸含有ペプチドのUgi反応を用いる新しい合成法を確立し、アンジオテンシン変換酵素阻害剤工エナラプリルの合成に適用した。構造解析の研究では、赤痢菌の産生する志賀毒素および志賀毒素様毒素の一次構造解析、血流増加ペプチドヘロデルミン、抗生物質ジチロマイシンの構造決定を完了した。またブタC5aアナフィラトキシンに関しては、その推定構造に一部誤まりのあることを指摘することができた。構造一括性相関の研究では、ブタ脊髄より単離したミエリン蛋白由来の化学走化性ペプチド、前述のヘロデルミン、ナイシン、NSTX-3などの最小活性構造について調べるために種々の誘導体を合成した。また鎮D痛ペプチドエンケファリンのレセプタ-との親和性、メタロチオナネイン中のCys残基の配列とCd^〓、Cu^〓との結合成、塩基性ペプチドの脂質膜との相互作用と抗菌活性との関係、N-ヒドロキシエチルプロリンを含むバリノマイシンアナログの金属イオン取りこみについて検討した。 以上のように2年間にわたる本研究により多大の成果を挙げることができた。
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