研究課題/領域番号 |
60304004
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態学
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 (1986) 千葉大学 (1985) |
研究代表者 |
市村 俊英 日赤看護大, 看護学部, 教授 (90015488)
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研究分担者 |
浜 健夫 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (30156385)
古谷 研 東京大学, 海洋研究所, 助手 (30143548)
才野 敏郎 東京大学, 海洋研究所, 助手 (60126068)
石丸 隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90114371)
高橋 正征 東京大学, 理学部植物学教室, 助教授 (50111357)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 湧昇 / 生態系 / 低次生産生物 / 植物プランクトン / 動物プランクトン / 生産物 / 増殖 |
研究概要 |
表層連続モニター、リモートセンシング、オクトパスシステム、XBTなどの手法を開発・導入して、数キロメートルで、数日から一週間程度の小空間・短時間スケールの局地性沿岸湧昇水塊内での、植物・動物プランクトンを中心とした低次生産生物を対象に、その増殖応答のしくみを集中的に研究した。局地性湧昇水塊のとり扱いでは、地球物理学的視点が不可欠で、そのために別途、日本学術振興会の日米科学協力事業の援助を受け、米国研究者の参加をえて実施した。実験は主として伊豆諸島海域で、東大海洋研究所の"淡青丸"と、筑波大学下田臨海実験センターの"つくば"を利用して行ない、湧昇水塊の検出から、その内外での生物諸過程の時間変化把握を中心に進めた。その結果、局地性湧昇水塊としては、水塊が水深30〜100mから海面に湧出する場合が多く、湧出後は数日以内に植物プランクトンの増殖が活発化し、植物の生物量が時間とともに指数関数的に増大していく。その際すべてのグループの植物プランクトンの増殖が刺激されるが、中でも珪藻類の一部の種類で顕著である。湧出後間もない水塊内での植物プランクトンの光含成生産物では、タンパク質量が特徴的に高くなり、生物群規模の増大につながる。それに対し、古い湧昇水塊や湧昇水塊の外部では、糖などのエネルギー物質の生産が主で、現状群集の維持が中心となる。同様現象は動物プランクトンでも認められ、植物プランクトンが増加すると動物プランクトンの産卵率が上昇し、動物プランクトンの生物量も増加する。以上のように、湧昇は一時的に低次生物生産を高め、生物群集規模を拡大する。その程度は湧出する栄養物質量に依存するが、生産量として周辺水域の数10倍である。一連の研究結果を整理して、昭和62年12月4日に東大海洋研究所において"局地性湧昇と生物生産過程"と題したシンポジウムを開く予定である。
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