研究課題/領域番号 |
60304023
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
北村 愛夫 農工大, 工学部, 教授 (20015001)
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研究分担者 |
今丸 碩志 精華女子短期大学, 教授 (80071752)
清水 滉 信州大学, 繊維学部, 助教授 (80021145)
小西 孝 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (70027861)
小出 直人 静岡大学, 教育学部, 教授 (90021857)
桑原 昂 静岡女子大学, 家政学部, 教授 (30046180)
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キーワード | 細繊度系MK / 太繊度系N5D / 少セリシン蚕繭 / 脂肪酸 / 脂肪酸アミド |
研究概要 |
少セリシン系と多糸量系の日本種系と支那種系を交雑し、細繊度,太繊度系および少セリシン系より86年春蚕期,晩秋蚕期に選抜試験を実施し、細繊度系は糸長2000m・繊度1.50d、太繊度系は糸長700m・繊度4.50dの蚕繭が得られ、少セリシン系は練減率22%のものが育成されこの品種育成者らによる蚕繭およびこれより得られる生糸の提供を品種育成者から受け各研究者によって研究を展開した。すなわちまずこれらの蚕繭の解じょについてオキシ酸および二塩基酸水溶液を供試し、0.2〜0.5%溶液でpH2.2〜3.0の酸性浴でも繰糸可能で、糸長・色沢・柔軟性など良好な生糸が得られることを明らかにした。 細繊度系生糸(MK系)と太繊度系生糸(N5D系)の微細組織を機械的性質についての比較研究がおこなわれ、MK系とN5D系フィブロインの微細構造は同一で破断面の観察からMK系に空隙が少ないのにN5D系は空隙が多量存在することを明らかにした。また少セリシン蚕繭、細繊度系ならびに太繊度系蚕繭による生糸に対しての捲縮附与効果について研究し、伸長弾性回復.伸長残留ひずみから少セリシン蚕繭による生糸の捲縮性は多区に比し水浸処理後も安定に保たれることがわかった。これら蚕繭から得られた生糸を精練した絹糸の染色性について調べ細繊度系絹糸に比べ太繊度系絹糸は初期染着速度は遅いが飽和染着量が大きくなることが認められ前述の空隙の存在量とよく対応していることがわかった。またこれら蚕繭による新形質生糸の耐摩耗性向上を目的に【C_(12)】〜【C_(22)】の脂肪酸および脂肪酸アミドで処理した場合の効果について調べた結果脂肪酸ではラウリン酸【C_(12)】,ミリスチン酸【C_(14)】,脂肪酸アミドではラウリン酸アミド【C_(12)】が特に太繊度生糸に対し有効であることがわかった。さらに新形質生糸にメチルメタクリレートをグラフト重合した結果グラフト率は細繊度系>太繊度系>コントロール>少セリシン系の順となることを明らかにした。
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