研究課題/領域番号 |
60304024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 興亜 名大, 農学部, 助教授 (50023411)
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研究分担者 |
森島 伊佐夫 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30032296)
柳沼 利信 名古屋大学, 農学部, 助手 (60135332)
佐々木 卓治 名古屋大学, 農学部, 助手 (20023492)
古賀 克己 九州大学, 農学部, 助教授 (40038261)
大西 英爾 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022521)
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キーワード | カイコ / 卵黄たんぱく質 / 休眠 / プロテアーゼインヒビター / ソルビトール / エクジステロイド / カルモジュリン / 精子 |
研究概要 |
家蚕の卵、胚、幼虫、蛹、成虫のすべての発育時期を対象にして、それぞれの発育期のしかも特定の組織・器官の示す特異代謝を研究した。卵の形成については、卵特異たんぱく質の生合成系を解析し、このたんぱく質は胚発生の過程に出現する特異的なプロテアーゼによって分解・利用される。また休眠卵では、その活性化にあたって比較的分子量の小さいRNAが出現する。このRNAの生理作用は不明であるが、休眠覚醒に特異的なものであることは今後の研究の進展を保障するものである。休眠卵の代謝特性の1つはソルビトールの蓄積であり、この分解・代謝にNAD-ソルビトール脱水素酵素が律速であり、この活性は特異的な温度処理によって活性化される。温度刺激による酵素活性の調節系の解明の糸口を提供している。 幼虫のプロテアーゼインヒビターは少なくとも血中に4種類あることが明らかにされた。インヒビター活性はカイコの系統、発育時期、組織によって異なり、また糸状菌のプロテアーゼに対しても活性を示した。キモトリプシンインヒビターの作用点をアミノ酸配列の面から検討したところ、哺乳動物由来のものとは異った機構を示し、カイコの特異性がうかがわれた。幼虫期から蛹期にかけて、カルモジュリン依存性のホスホジエステラーゼ活性とシクラーゼを分析し、全活性の5%が本酵素としてカイコに存在していた。この割合は他の動物群に比較して低く、ここにも昆虫の特性がみられた。 ステロイド系のホルモンは卵巣中では結合型として存在し、リン酸エステル型であることが推定した。 精子の活性化と活動エネルギー源について、特にアミノ酸の面から検討を加えたところ、アルギナーゼによるアルギニン→オルニチン→チト酸代謝系が主要なものであること、またアルギニン源を供給するための特異的なプロテアーゼの存在が示された。
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