研究課題/領域番号 |
60304030
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤井 龍男 京都大学, 農学部, 助教授 (90026625)
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研究分担者 |
柿原 道喜 九州大学, 農学部, 助教授 (10038333)
永森 通雄 高知大学, 農学部, 教授 (60036704)
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 助教授 (00032649)
杉浦 孝蔵 東京農業大学, 農学部, 教授 (90078105)
相場 芳憲 東京農工大学, 農学部, 教授 (00014944)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 集約林業 / 粗放森林施業 / 粗放保育 / 低コスト育林 / 混交複層林 / 優勢木 |
研究概要 |
わが国の有用針葉樹の育成法は各地域の社会条件や生産目標が異なるにもかかわらず、一般に農業の模倣と思われる集約な画一的技術によって行なわれている。本研究は関東から九州までの6地方における施業集約度の異なるスギ、ヒノキ人工林の林分構造や生産力を多面的、総合的に解析し、多様な立地条件と生産目標に適した合自然的森林施業すなわち粗放施業の技術体系を確立しようとしたものである。しかし初年度の交付内定(二次)が遅い等研究遂行に困難な事情があったが、各分担者の努力で次のような成果をえた。 自然間引が生じているような林分での優勢木の成長は、植栽本数や密度の違いにもとずく差が小さく、また優勢木の分布様式は一般にランダム分布を示すことがわかった。それ故無間域でも中、大径の良材が生産できる等、粗放的な保育施業が技術的に可能であることを提示した(関東、四国地方)。植栽後ほとんど保有作業を行なわなかった40年生のスギ林分を解析した結果、天然生のアカマツ、ヒノキ、広葉樹を混交する複層林になっているが、柱適寸の優勢木の生長は地位下程度の集約施業林と大差がなく、粗放な育林法も一つの施業技術となりうる可能性を見出した(近畿地方)。多雪地のスギと少雪地のヒノキの造林地において下刈り省略試験を行なった結果、直径の分散幅は大きくなるが、造林木本数の1/3の優勢木については慣行の下刈り地の生長と大きな差はなく、造林木の自生する地域では下刈り保育を省いても成林する可能性のあることがわかった(近畿、九州地方)。一方、多雪地帯では植栽後の保育が粗放であっても、雪害が小規模であれば林分構造に大きな変化がなく、充分成林することがわかった(中部、中国地方)。 以上のように現在までえられた情報はまだ断片的であるが、粗放的森林施業は体系付けが可能であり、不況下にある日本林業の新たな育林技術として今後充分適用できる見通しをえた。
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