研究分担者 |
小林 譲 愛媛大学, 医学部, 教授 (20038615)
熊田 信夫 名古屋大学, 医学部, 教授 (80022755)
田中 寛 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012692)
多村 憲 新潟薬科大学, 教授 (50027314)
須藤 恒久 秋田大学, 医学部, 教授 (90006700)
|
研究概要 |
本年度も引き続き各地での本病患者発生状況の調査が行なわれ、患者発生総数は減少してきたものの、和歌山,岡山県などで新たに患者が発生するなど、本病の発生地域は更に全国的に広がりつつあることが明らかになった。血清診断法の確立とプロトコールの標準化に関する研究は、間接ペルオキシダーゼ法が簡便なスクリーニング法として患者の早期診断に活用,定着しつつあること,またアビジン・ビオチン反応系を用いた螢光抗体法,赤血球凝集反応(IAHA)法などの新しい血清検査法の開発に向けた研究が進展している。病原リケッチアの性状に関する研究では、引き続きモノクローン抗体や免疫ブロット法を用いた抗原構造や患者抗体産生の解析が進み、特に恙虫病リケッチアは他の細菌類に比べてその表層構成成分が著しく特異であり、今後、genus nameの変更を含めた分類学上の再検討が必要であることなどが報告された。また、ツツガムシ幼虫から直接病原リケッチアを検出,分離する方法の改良も進展をみせ、これをもとに各種ツツガムシ幼虫のリケッチア保有状況が各地で精力的に行なわれた。更にツツガムシ幼虫の継代飼育とそのなかでのリケッチア伝播様式の研究において、病原リケッチアが経卵感染により【F_1】に伝播され、その【F_1】のなかにはリケッチア陽性の雄も表われるなどの新しい知見も得られている。南西諸島の恙虫病に関する調査研究では、台湾を含む疫学調査が実施され、沖縄では依然として本病発生の可能性を示唆するような調査成績を得ていないが、隣りの台湾では多数の本病患者が発生しており、我国と同様、最近患者数は急増傾向にあること、これを裏付けるように野ネズミには多数のツツガムシ幼虫が吸着しており、比較的高率に病原リケッチアが分離されることなどの調査成績を得ることができた。また、これに関連して、韓国においても最近、本病が多数発生していることなどが報告された。
|