研究分担者 |
本間 守男 神戸大学, 医学部, 教授 (10004566)
保坂 康弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (50029766)
伊藤 康彦 三重大学, 医学部, 教授 (00022872)
山内 一也 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30072888)
渋田 博 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70012721)
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研究概要 |
本研究の目的はパラミクソウイルス科の諸ウイルスの分子生物学と感染発症機構に関する新しい知見を得ることであった. 約15000塩基のウイルス遺伝子の全構造の解明がセンダイウイルス, 3型パラインフルエンザウイルスについて完了した. 後者では, その病原性を支配する遺伝子産物が同定された. ニューカッスル病ウイルス(NDV)についてはウイルスの体内伝播と発症の鍵を握る遺伝子信号が, 酸毒株と弱毒株糖蛋白遺伝子の比較により, 明らかにされた. センダイウイルスのマウス気道での病巣形成の鍵を握る宿主プロテアーゼの特異性が, 各種変異ウイルス株の遺伝子解析で明らかとなった. この他, 牛ジステンパーウイルスの糖タンパク遺伝子塩基配列が解明された. また, NDVではモノクローン抗体選択株の遺伝子解析により, 抗原決定基に関与するアミノ酸が同定され, ムンプスウイルスでは, 細胞性免疫応答の解析のための系が確立された. この他に, ウイルスー細胞相互作用の解析をもとに, パラミクソウイルスのアセンブリーにおける細胞骨格の関与などの新知見も得られた. 要約して, 本研究は, ウイルスの分子生物学と感染病理学との結合又は融合という, ウイルス研究の新局面を開いた. このような新しい傾向の研究がさらに発展ウイルス病制御のための新しい概念を提起することが期待される.
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