研究課題/領域番号 |
60304055
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
大井 玄 帝京大, 医学部, 教授 (70114410)
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研究分担者 |
杉森 文夫 山階鳥類研究所, 主任研究員 (60087997)
森田 昌敏 国立公害研究所, 室長 (30132864)
佐藤 孝二 名古屋大学, 農学部, 教授 (60023420)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | ドバト / 環境指標生物 / ダイオキシン / クラミジア / 生活リズム / 繁殖活動 |
研究概要 |
ドバトは、ヒト社会に密着して生活しているため、ヒトの日常的、社会的活動の影響を受け易い。それ故、都市環境の汚染を反映する指標生物として有用である。最年、猛毒な塩化ダイオキシンが清掃工場由来の煙に含まれるという報告があるため、我々は塩化ダイオキシンによる大気汚染をモニタリングする目的で、都市環境中のドバトに含まれる塩化ダイオキシンを分析した。八塩化物は脂肪あたり、脂肪組織及び肝臓ともに1〜3ppb存在し、成鳥の方が若鳥よりも濃度が高い傾向がみられた。七塩化物は八塩化物の1/2〜1/3量検出され、この場合も成鳥の方に濃度が高かった。最も強毒性の2・3・78-TCDDのドバト中の濃度は極めて低く、その定量的分析は困難であった。清掃工場由来の飛灰中の塩化ダイオキシンのパターンはドバト脂肪中のそれとは異なることから、ドバトの塩化ダイオキシンは工場の飛灰以外の汚染源をもつか、あるいは飛灰のダイオキシンを代謝したパターンを示すものと推察された。 ドバトは都市環境の指標生物として有用であるが、排泄物中の病原微生物による感染など厄介視もされている。我々はヒトの感染をも起すクラミジアの抗体保有率を見た。名古屋市内の工場地区の群は40%、住宅団地、郊外は20〜30%、東京の浅草集団は30%で、集団間の差はそれほど大きくなかった。一方、都市環境もドバトの生態に影響を与えている。物理的因子の一つである光が、ドバトの生活リズムに与える影響をみた。各地のドバト集団が餌場を去る時刻を調べ、さらに夜遅くまで滞在するハトの生態を観察した。ドバトを環境指標生物として扱うためには、各構成集団の個体維持や、種族維持に係わる基本的な生理生態学的情報が利用できることが望ましい。その目的のため、構成集団の月令既知か月令推定可能な個体を対象として繁殖活動と月令との関係について検討した。
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