研究分担者 |
丹羽 真一 東京大学, 医学部, 助手
高橋 三郎 滋賀医科大学, 教授 (20079916)
保崎 秀夫 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (30051056)
稲永 和豊 久留米大学, 医学部, 教授 (00080705)
山口 成良 金沢大学, 医学部, 教授 (00064501)
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研究概要 |
本研究班は、眼球運動を用いた研究,神経心理学的研究,脳血流・MRI-CTを用いた研究,事象関連電位による研究に分けられる。大熊は分裂病患者と幻覚・妄想をもつ躁うつ病患者の追跡眼球運動において、右方向追跡時に、視標に対して眼球の相対的進みが見られることを確め、これらの患者の左半球障害を示唆した。高橋良は分裂病者に見られる連続視覚作業時の眼球運動の障害が、注意障害と関連し、分裂病の重症度を反映すると報告した。また、てんかん患者に横S字型の図を見せたときの眼球運動を調べ、脳波で左側頭焦点を有する者が右側に比して、その障害が強いことを認めた。鳥居は分裂病にみられるage disorientationの特徴を調べ痴呆との関係から詳しく検討した。また保崎は分裂病の前頭葉機能を調べるために、Wisconsin Card Soxting TestとWAISを用い分裂病群,前頭葉損傷群,前頭葉以外の脳損傷群を調べ、慢性分裂病の前頭葉機能障害を積極的に示唆する結果は得られなかった。山口は133×2吸入法を用いて感情病患者の局所脳血流量を調べ、双極性うつ病では、半球平均血流量が対照群より有意に低下し、単極性うつ病で左前頭中心領域の相対的血流低下を認めた。稲永は慢性分裂病患者脳のMRI-CTを記録し、分裂病群の前頭葉内側面の平均値が対照群より大きく、頭頂葉内側面が対照群より有意に小さいことを認めた。高橋三郎は発語に先行するCNVを調べ、その右側優位性が分裂病の重症度を反映すると報告した。また町山は標的音検出パラダイムを用い、うつ病,分裂病のERPを調べ、うつ病者の値は正常者と分裂病者の中間に位置することを認めた。丹羽は健常者を対象にダイコティク・シラブル弁別課題遂行時のERPを記録し、注意関連電位(Nd)と目標音検出時のP300成分の正常値の標準化を試みた。以上のように、分裂病と躁うつ病の半球機能と統合機能の障害に関する新しい知見が得られ、これらを基盤にして今後の研究の発展が期待される。
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