研究課題/領域番号 |
60304067
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
出月 康夫 東京大学, 医学部, 教授 (60081717)
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研究分担者 |
梅山 馨 大阪市立大学, 医学部, 教授 (30046792)
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
岩崎 洋治 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30009112)
土屋 凉一 長崎大学, 医学部, 教授 (70025534)
水戸 廸郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60000981)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 膵移植 / ラ島移植 / インスリン依存型糖尿病 / 臓器移植 / 人工膵 / 免疫抑制 |
研究概要 |
血管吻合による膵臓移植は主に犬、ラットを用い膵十二指腸移植、全膵移植、部分膵移植モデルを作成し、外分泌腺処理、血栓形成防止及び免疫抑制剤の効果について検討した。外分泌腺処理としては十二指腸を用いるなどの腸管誘導法(出月、岩崎)や膀胱誘導法(土屋)が膵内分泌機能を維持する上で有効であることが確認された。しかし致命的な合併症もあり、膵管充填閉塞法の試みも行われ(太田)安全重視か機能重視か今後の検討課題である。血栓防止ではAーVシャント(出月)や脾合併移植(岩崎、土屋)による脾動静脈の血流の維持を図る一方でその操作に伴う脾組織血流減少、GVH反応も検討された。免疫抑制剤としてはciclosporin(CYA)により長期生着が得られた(太田、岩崎、梅山)。しかしCYAには可逆性であるとはいえ膵毒性があり、過不足のない使用量への注意が必要である(梅山、太田)。新しい免疫抑制剤Bredininては長期生着が得られなかった(出月)。ラ島移植においては、従来の細切消化法では充分な分離回収ができないことからcollagenase膵管灌流法(佐藤)やcollagenaseを用いない凍結粉砕法(水戸)の新しい分離方法が開発され、大動物やヒト膵にも用いられ、臨床応用への道が開かれつつある。又時間の短縮化や長期保存を目的に急速凍結保存法の検討もなされた(中川原)。免疫抑制法では移植前処置とのCYAの併用(白鳥)やmicroenncapsulationによるラ島の被包化(高木)により異種ラ島移植の可能性も示唆された。一方で糖尿病に伴う2次病変である腎症や心病変に対し、早期膵移植によりこれらの合併症の予防や進行が阻止されることが示され(野沢)膵移植のI型糖尿病に対する治療法の有効性及び必要性か明らかとなった。班員による同種・自家移植の臨床症例の検討を行う一方、膵移植の現状について全国アンケート調査も施行した。膵移植の実験的研究が42施設で、臨床では同種膵移植が1例、自家膵移植が22例に施行されており、本邦においても膵移植の臨床応用は、確実に第一歩を歩み出したと言えよう。
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