研究課題
総合研究(A)
十二指腸乳頭部は胆管と膵管の末端に位置し、胆汁と膵液の排出を合理的に調節している。それゆえ同部の機能障害は胆汁と膵液の排出障害に起因した種々の病態を惹起する。本研究は十二指腸乳頭部機能解明を目的とした。研究期間は2年間であった。研究課題として、各施設における胆道内圧測定の成績を集積し、それぞれの方法の特徴、欠点などを明らかにするとともに、胆道内圧測定の統一をはかる。十二指腸乳頭部機能と胆道、膵管の形態的相関あるいは胆汁、膵液排泄機序の相関を検討する。種々の胆膵疾患時における十二指腸乳頭部機能障害を明らかにすることであった。その成果として、胆道内圧測定法では、各施設間の考え方の違いが余りにも大きいため統一を得ることはできなかったが、その考え方、測定のポイントなどについて多くの理解が得られ、今後にこれらのdataを比較するとき幾つかの部分が共通することが判明した。消化管ホルモンの作用と胆嚢、乳頭部運動機能について、とくに内因性プロスタグランディン、caerulein、CCK、enkephalin、substance P、serotonin、および抗コリン剤などの胆嚢収縮、Oddi括約筋に対する作用の検討がなされ、その反応機転が明らかとなった。乳頭炎、乳頭部狭窄における乳頭機能について、実験的、臨床的研究がなされ、乳頭部の形態や胆道内圧を幾つかのtypeに分類することによって乳頭不全の発生機序の解明はもちろん胆管像からみた乳頭部の付加手術の適応について重要な示唆が与えられた。各種病態下における乳頭部機能と胆膵相関について、とくに胆管拡張例と非拡張例、膵管胆道合流異常症、急性膵炎や胆石膵炎について実験的、臨床的研究がなされ、とくに胆道内圧、膵管内圧の面より、その発生機序、病態、治療について重要な示唆が与えられた。
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