研究分担者 |
金品 昌志 九州大学, 教養部, 教授 (80035617)
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
白浜 啓四郎 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50039252)
末崎 幸生 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80069484)
吉矢 生人 大阪大学, 医学部, 教授 (80028505)
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研究概要 |
揮発性麻酔薬の分子論的な作用部位が興奮性膜の脂質か蛋白か, 或は蛋白周辺脂質か, 或はまた脂質にしろ蛋白にしろ界面荷電及び界面水和が関係するのかについて, 研究分担者が各自の麻酔機序に関する研究を行いつつ, 一堂に会して討議することが本研究の目的であった. 昭和58年から年1回開催しており, 研究代表者および分担者の全員が世話人か会員である麻酔メカニズム研究会を公開の討議の場とし, 分担者研究会をクローズドショップの討議の場として年一回宛会議をもって検討してきた. 各年度の主たる討議目標として, 60年度は「麻酔機序の研究の目的にどんな膜モデルが適当か?」61年度は「膜界面における水和, 荷電の変化の検討」62年度は「膜及び膜界面における麻酔薬の効果と加圧研究及び分配」が当初に上げられたが, それにとらわれることなく, 麻酔機序に関する研究発表とその内容に対する忌憚のない討論を行うことを目的とした. それらについては研究成果報告書の方に詳細に記載した. 本研究主題で研究分担者の共通項としての見解は揮発性麻酔薬の作用様式は作用部位との非特異的結合である, ということであった. しかし, ここ数年来Franks N.P.,Lieb W.R.による特異的作用部位に関する示唆をはじめとしていくつかの同様意見があり, Nature 328, 157-160, 1987ではEvers A.S.らが麻酔薬は飽和する作用部位を中枢神経系が持って居り, 特異的結合のある可能性について報じている. 62年度の分担者研究会では, この報告で示されている研究方法(ハロセン麻酔下のラットにおけるinvivo H'-NMRにおける緩和時間の測定)を分析し「飽和する結合部位があるということすなわち特異的結合であるとは云えない. 従って, この研究から麻酔の作用部位は特定の受容体であるということにはならない. 非特異的結合である非ラングミュア吸着でも飽和過程がある. 」ということを結論付けた.
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