研究課題/領域番号 |
60304072
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小池 吉郎 山形大, 医学部, 教授 (70018357)
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研究分担者 |
野村 恭也 東京大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (30009948)
松永 亨 大阪大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (10101271)
隈上 秀伯 長崎大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (50039492)
富田 寛 日本大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (60058964)
柳原 尚明 愛媛大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 教授 (40025581)
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研究期間 (年度) |
1984 – 1986
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キーワード | 特発性顔面神経麻痺 / 対人口10万比発生率 / 南北気候差 / ウイルス感染 / 顔面神経機能検査法 / 早期予後診断 / ステロイド療法 / 混合静注法 / 抗ウイルス剤 / 麻痺評価法(日本案) |
研究概要 |
昭和59年度より3年間の予定で全国28施設の共同で開始された本研究の研究成果を以下の5つの重要項目毎にその成果を総括すると 1.ベル麻痺及びハント症候群の発生状況:現在まで我が国では大規模な疫学調査はなく本研究の報告が初めてであるが、県別の正確な統計では山形県で人口10万対24.9、愛媛県では31.1人で、各小地域毎の報告でも20〜30人前後で欧米のそれと概ね一致した。この数はメニエル病の約2倍、突発性難聴の約1.25倍にあたる。ハントはベルの約20%の発生に止った。発生率に南北差なく、寒冷と発生率との関係は北海道の発生状況からみると否定的だった。 2.ウイルス感染の状況:ベル麻痺と診断された中の3〜18%にウイルス感染像がみられ、帯状疱疹,インフルエンザA及びB,単純ヘルペス等が考えられた。人口密集地域たる東京・京阪神地区でウイルス感染率が高く、気候の違いとは無関係で、ウイルス感染の流行との関連性が高かった。 3.顔面神経診断法の全国実施状況及び開発状況:NET及びElectroneuronography,誘発筋電図が最も信頼性が高い。アブミ骨筋反射も補助診断法として有用となった。 4.治療法及び治癒率:完全回復はベル麻痺52.1%、ハント症候群59.0%であるが転帰不明が29.2%あり、この取り扱いで治癒率が変動することが判った。減荷術の施行は4.2%と低く早期適用以外は効果が少いとの考えが定着した。保存療法ではステロイドの早期投与が効果的であり、ハント症候群で効果がある。更に低分子デキストラン等の混合静注療法が治癒率を向上させる事が確認されつつある。ハント症候群に対する抗ウイルス剤の効果は麻痺発症時には有効とは認め難い。また、後遺症の発生に関する臨床的研究が進み、その評価法に就ての日本案が作製され、1988年のブラジルでの国際学会で発表される事となった。
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