研究概要 |
十字班員は研究協力者松木一雅の協力をえて、ナルコレプシー患者から白血球を分離し、それからDNAを抽出し、種々の制限酵素を用いてこれを消化分解し、これを電気泳動により展開する。これにHLA-DRα,DRβDQα,DQβ,DPα,DPβ,などのcDNAprobeを反応させ、そのパターンを解析を行っている。DQαcDNAprobeで、各HLAclass【II】抗原と相関する特定のバンドが5種類検出された。TagIで分解した場合、ナルコレプシー患者のすべてに6.0kbのバンドが検出され、Dw2陽性のDR2とこのバンドが相関することがたしかめられた。一方DW12陽性のDR2は、このバンドとは異なる6.6kbのバンドと相関することが確認された。またこのほかに2.4kbのバンドはDR1,DRw10,DRw14と相関し、4.6kbのバンドはDRw11,DRw12と相関すること、さらにDR4,DR7,DRw9が5.5kbのバンドと相関することが示された。これらの事実はDQα鎖にも、DNAレベルで遺伝的多型が存在することを意味し、このなかで制限酵素TagIで分解して、6.0kbの長さとなるバンドがナルコレプシー患者の全員に検出されたことはきわめて興味深い。今後DQβ,DRβとともにDQαもナルコレプシーの遺伝的マーカーとして意味付けをしたいと考える。本多班員はナルコレプシーと類似した疾患をHLA-DR2をマーカーとして鑑別できるかどうかを検討しているが、Essential Hypersomnioと呼ばれる疾患には、HLA-DR2の頻度が正常者に比較してやや高いことを見出した。これはナルコレプシーと遺伝的背景が同じである不全型がこの疾患のなかにまぎれこんでいるためと考えられる。浜口班員をHLA-DRα,DRβ,DQα,DQβ,DPα,DPβの糖タンパクを二次元電気泳動上のパターンによってその多型を検討している。
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