研究分担者 |
粟津 荘司 東京薬科大学, 教授 (60012621)
堀 了平 京都大学, 医学部, 教授 (40001036)
福田 英臣 東京大学, 薬学部, 教授 (50080172)
星 猛 東京大学, 医学部, 教授 (60004537)
伊賀 立二 東京大学, 薬学部, 助教授 (60012663)
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研究概要 |
生理・解剖・生化学的機構に基づいて薬物の体内動態を解明する研究が近年急速に発達してきたが、本研究は、この手法を発展させ薬物の体内動態の種々の変動予測を定量的に行うシステムを構築することを目的とするものである。この変動には動的種差,個体差,年齢差,日内及び季節変動,病態変動,薬物間相互作用,更に、薬物の化学構造,製剤物性など多種多用なものが含まれている。現在これら多用な変動を統一的に予測するシステムを完成させることは極めて実現性の高い目標となっている。例えば、アニマル・スケール・アップをシステム化しデータバンクを整え一般的手法として完成させること、肝臓,腎臓における薬物移行の細胞及び細胞膜による機構解明及び灌流実験による速度論的解明により病態及び薬物相互作用による薬物機構を解明し予測法ならびに病態診断法を完成すること,あるいはレセプター結合研究と薬物体内動態とを組み合わせて、薬物作用消長の予測法の研究を行うこと等を企画した。研究班は13名で構成され2年間(昭和60,61年)継続されたが、その間に新たな知見、重要な成果が多種提出され、極めて実りの多い研究であったと言える。特にペプチドの生理的輸送機構に基づく体内動態の解明、化学療法剤の分子論的機構に基づいた体内動態予測と殺菌効果の定量的予測法の確立、さらに肝臓・腎臓における薬物の輸送、代謝及び排泄過程が生理的機構に基づいて速度論的に解析されたこと、なかでも酸化代謝のみならず抱合代謝酵素における肝機能の局在性の遊離肝細胞を用いた速度論的解析、そして腎尿細管上皮細胞刷子縁膜と側底膜の分離精製法を確立し、これら膜小胞体によるエネルギー変換をともなう、薬物輸送の変動に関して速度論的に解析されたことは大きな収穫であった。班会議は各年度の2月に東京で開催され、活発な討論がなされ、何れも研究推進に大きな刺激となったと思われる。
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