研究分担者 |
高鳥 浩介 食薬安全センター, 室長 (50270624)
八神 健一 筑波大, 医学群, 助教授 (40166476)
佐藤 浩 長崎大, 医学部, 助教授 (50072947)
浦野 徹 熊本大, 医学部, 助教授 (90101899)
輿水 馨 東大, 医学部, 教授 (90011866)
|
研究概要 |
本年度は、実験動物施設で利用する「滅菌,消毒作業マニュアル」を作成するための基礎資料とするため、実験動物に関わる各種の病原体の熱,紫外線ならびに種々の消毒剤に対する抵抗性を検討した。 細菌では、気管支敗血症菌等の15菌種、120株について熱,紫外線,エタノールその他8薬剤に対する抵抗性を検索した。芽胞を形成しない細菌では、100℃1分の加熱に耐えるものはなく、エタノール,イソプロパノール,クレゾール,塩化ベンザルコニウムに容易に殺され、紫外線に対しても約15分の照射で大部分が不活化された。しかし、芽胞形成菌の多くは、100℃5時間あるいは110℃5分の加熱に抵抗し、滅菌のためには120℃10分以上のオートクレーブ処理を必要とした。 マイコプラズマについて3菌種、10株の抵抗性を検索したところ、エタノール,イソプロパノール,クレゾールの殺菌効果にはいずれも著しいものがあったが、塩化ベンザルコニウムのそれはやや劣り、クロルヘキシジンその他の消毒剤では無効の例もあった。 真菌の8菌種に関する抵抗性は、加熱や消毒剤に対して一般には容易に不活化されるが、紫外線に対しては株によるばらつきが大きかった。ウィルスの抵抗性については、センダイウイルス,ハンタンウイルス,イヌパルボウィルス等を用いて検索した。感染性ウィルス粒子を含むエロゾール飛散によって主に伝播すると考えられるウィルスは、多くの消毒処理が有効であるとする成績をえた。また、そのほかのウィルスについても、通常の消毒処理で不活化可能と思われる。 いずれにしても従来の滅菌、消毒法について、実験室レベルでの殺菌効果はみとめられるけれども、実験動物施設の現場における使用には、慎重な配慮が必要と思われる。
|