研究概要 |
心身障害者に対する教育は、個々の障害の内容、程度が異なり、各自の能力差が健常者以上に著しいために、個別化教育のシステムの開発が求められている。本研究では、本研究グループがこれまでに行ってきた学習の個別化を目指した研究成果と、携帯用点字ディスプレイ端末の開発等の視覚障害者用のハードウェア開発の研究成果を、初等教育から高等教育レベルの視覚障害者の教育と、初等・中等教育レベルの精神遅滞者の教育を対象に適用し、実際に役に立つCAI(Computer Assisted Instruction=コンピュータ援用教授システム)を開発することを目標としている。 昭和60年度においては、以下の計画に従い、主としてシステムの基本設計を行った。 【◯!1】障害者教育の現状についての調査。 文献調査,アンケート調査,ヒヤリングによる調査,現地調査等を行い、障害者教育の現状についての調査、分析を行った。 【◯!2】求められているCAIシステムの基本理念の検討。 【◯!1】の調査結果を基に、どのようなCAIシステムが求められているか、昭和61年度に開発をするCAIシステムの基本理念はいかにあるべきかについての検討を行った。 【◯!3】CAIシステムの設計、開発の準備。 システム設計の基本理念を基づき、盲人用,精神遅滞者用のキーボード,盲人用ディスプレイ等のハードウェアの設計を行った。 【◯!4】点字による漢字表記についての基礎研究。 現行の点字システムはカナだけを用いており、分かち書きを必要とする。しかし、これだけだと健常者との間のコミュニケーションを確立することが困難であり、高等教育には適さないので、点字で漢字を表すためのシステムの開発についての基礎研究を行った。
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