研究課題/領域番号 |
60400009
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
三梨 昂 島根大, 理学部, 教授 (90127499)
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研究分担者 |
宮田 逸夫 島根大学, 理学部, 教授 (90069948)
伊藤 晴明 島根大学, 理学部, 教授 (80032423)
荒木 長男 島根大学, 理学部, 教授 (70028124)
橋谷 博 島根大学, 理学部, 教授 (00156267)
徳岡 隆夫 島根大学, 理学部, 助教授 (30025358)
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キーワード | 自然史 / 底質 / 音響探査 / 放射年代 / 環境モニタリング / 廃水処理 / 自然残留磁気 / 植生 |
研究概要 |
自然史分野の研究では今年度は中海を中心におこなった。中海の2度にわたる音響探査により、その湖底状況を昨年度の調査とあわせて湖底地形,底質およびそれに含まれる有孔虫・貝の組成,底層水などについての系統的な資料が得られた。また、湖底下堆積層の厚さと構造が明らかにされた。柱状採泥については計7地点で実施し、【^(207)Pb】 【^(134)Cs】,【^(14)C】にもとづく堆積速度の検討をおこなった。それによると中海の平均堆積速度は0.04gr/【cm^2】/yrとなり、この値は昨年宍道湖で得られた値のほぼ1/3である。このことは斐伊川が主な供給源であることからよく理解される。精密音響探査による水深測定の結果を20年前の国土地理院の測定と比較することができたが、この20年間の埋積と上記の堆積速度はよい一致を示している。正確な放射年代がクロスチェックされて測定されたのは宍道湖と中海のみであり、今後実際に年間の堆積量を測定するなどして、未来予測が可能となってきた。なお、陸域の調査は経費の面で割愛せざるを得なかった。 環境モニタリングの研究では中海において2週間にわたって水質の垂直方向の連続観察をおこなった。これははじめての試みであり、大きな成果が得られた。従来の年何回かの観測による水質の将来予測については再検討が必要となった。廃水処理については基礎研究を続行した。 自然残留磁気による編年では宍道湖のコアについての検討がなされ、約1mのコアのなかで、連続的に変化していることが明らかにされた。今後は磁北の決定や不撹乱資料の採取に工夫が必要である。 周辺植生については水域も含めて地道な調査が実施され、大きな進展をみせた。近い将来精密な植生分布図をつくれる見通しが得られた。 以上の成果については発表文献とともに60・61年度をまとめた報告書に示した。
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