研究分担者 |
大橋 薫 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90062067)
大嶺 哲雄 沖縄大学, 短大部, 教授 (30083984)
高良 有政 沖縄大学, 法経学部, 教授 (10078008)
平良 研一 沖縄大学, 法経学部, 教授 (10083990)
佐久川 政一 沖縄大学, 法経学部, 教授 (80077990)
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研究概要 |
本研究は, 沖縄県における戦後40年間の政治・経済・社会変動と家族変容との関連性を家族問題的視点から解明せんとするものであった. 具体的には, 法学・政治・経済・社会・歴史・民俗・宗教・教育・社会福祉等の分野から(1)法・政治制度の変遷と家族保護・婚姻・離婚・相続・国籍等関係法の変容と対象実態との関係性(2)経済変動と地域変容及び家庭内経済変容との関連性(3)社会変動と家族構造の変容(4)社会・文化変動と社会病理発生の関連性, という4つの基本的視座からそれぞれの関連事項の実証的分析を行ない, それが, 沖縄の離婚・未婚の母・要保護家庭の高出現率, 無国籍児, 心身障害, アルコール依存, 少年非行等を含む(社会病理的な)家族問題とどのように関連しているかについて究明することに主要な目的があった. 上述のような目的, 方法論を持ちながら, 具体的な究明作業としては, 関連統計資料の収集分析, 関係機関での聴き取り調査, 沖縄本島・宮古・八重山・久米島地区150地点1500世帯を対象にした「家族の実態と意識に関する調査」を行った. また, 各班, 全体の研究会も重ねた. その結果, 軍事基地の存在が社会経済の展開様式に大きく作因しながらも, 戦争による産業経済, 住宅・施設等の潰減的破壊からの復興, とりわけ本土復帰後の急速な復興が実証された. 同時に復帰後の社会変動は急激であり, 政治・経済・社会・文化の諸相において「本土化」の様相が強くなっている. したがって, 家族生活や親族組織は変容の過程にあり, 家族問題も多様化・複雑化している. しかし, 生活や行動様式の基層においては沖縄的特性の残存も認められる. また, 沖縄内部における地域的差異も依然として存在する. なお, 離婚・未婚の母の高出現率の原因については, 相応の調査研究と多岐にわたる討議がなされたが, 充分なる究明には至っていない. 今後の調査研究の深化が望まれる.
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