研究課題/領域番号 |
60410008
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
町田 章 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 部長 (90000471)
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研究分担者 |
岩永 省三 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 研究員 (40150065)
肥塚 隆保 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (10099955)
沢田 正昭 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (20000490)
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キーワード | 青銅器 / 荒神谷遺跡 / 緑青 / 螢光X線分析 / 鐸剣鏡 |
研究概要 |
本年度までに青胴鏡 面、銅鐸38点、銅戈7点、銅矛19点、銅剣19点、銅鏃57点、銅銭70点の材質分析をすることが出来た。また、荒神谷遺跡出土の銅剣直下の土壌については、金属成分の溶脱、移動、吸着、沈着などの実態を調査することが出来た。この分野の分析調査は、徳島県出土の銅鐸についてもその付着土壌について分析することが出来た。1.青銅器が土にあって、腐食していく過程での金属成分の溶脱、そして移動については、次のような事が明確になった。すなわち、銅、錫、鉛成分のうち、最も溶脱しやすいのは、銅成分である。次いで鉛であった。さらに溶脱成分の移動は、青銅器の埋蔵環境によって大きく異なり、一定の傾向はみられない。今回の調査に限って言えば、通常は、溶脱成分の移動範囲は数cm以下のようである。遺物に密着した土壌が粘土質であれば、数百ミクロン止まりで、移動の範囲は意外に少ないという印象であった。青銅器の材質分析にあたっては、溶脱しやすい成分の銅の挙動に考慮して検討を進めた。 2.今年度までに材質調査を行なった青銅器の試料総数は、 点である。しかしながら、銅剣については、当初予定していたほどの数量を分析することが出来なかった。銅剣の形式とそれらの成分を対比するための、最小限の試料数については分析することが出来た。また、分析の試料数が最も多かった青銅鏡については、主要成分の、銅、錫、鉛に着目して、それらの材質的特徴を明らかにすることが出来た。特に、非破壊的手法による分析、すなわち、サビの上からの分析を通して材質の特徴をある程度まで表現できる方法を本研究グループ独自に開発した。これによって、舶載された製品と日本で製作された製品の材質の違いをある程度まで明確にすることが出来た。青銅器の器種と形成、形成と材質の関わりをもとにして、それらの原料の産地についても検討を行なった。
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