研究課題/領域番号 |
60410011
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
一般理論
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
服部 文男 東北大, 経済学部, 教授 (20004179)
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研究分担者 |
田中 素香 東北大学, 経済学部, 教授 (20094708)
青木 國彦 東北大学, 経済学部, 教授 (70004207)
柴田 信也 東北大学, 経済学部, 教授 (80006840)
金田 重喜 東北大学, 経済学部, 教授 (80004183)
村岡 俊三 東北大学, 経済学部, 教授 (60004181)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | ドイツ歴史学派 / リスト / 直先スプレッド / 流通必要金量 / 金本位制 / 管理通貨制 / インフレーション |
研究概要 |
1.イギリス古典経済学の批判的摂取の産物であるマルクスの商品・貨幣論の特徴を明確にするために、ドイツ歴史学派との対比を行った。その際、歴史学派の源流でなすリストの見解に関する初期および後期マルクスの草稿・傍注を検討して、マルクスの商品・貨幣論が資本主義社会の経済構造全体の把握を前提していることを明らかにした。 2.市場で取引されている商品は(1)貨幣を生み出す本来的な商品と(2)貨幣によって生み出される擬制的な商品、とに分けられる。労働力商品は後者に属するが、それが流通にとりこまれることによって資本へ貨幣が転化する。その意味で本来的商品とは区別される擬制的商品の導出が上向法上の不可決の一環をなしていることがわかる。 3.世界貨幣論の領域では、世界的なスケールでの商品・貨幣流通という観点から出発して諸国民的利子率の並存という事態が為替リスクから生じており、為替リスクは直先スプレッドという形で現象することを明らかにした。 4.インフレーション論の基礎的な概念である流通必要金量の内実を明らかにするために、金本位制の下での貨幣量・物価・実質生産の関連を実証的に検討し、管理通貨制下のそれらの関連との関係を比較した。その結果、流通必要金量は、世界金生産と結びついて諸国に流入する金に規制されつつも、景気変動過程での物価と実質生産の下方への運動と深く結びついていること、この物価と実質生産の短期的不安定をつうじて特に物価の長期的安定が実現していることが明らかになった。これは管理通貨制下の物価の運動と誠に対照的な点であり、管理通貨制下の物価理論形成の礎石に据えるべきと考えられる。併せて金の価値尺度機能は流通必要金量と結びついた実質物価を示すということが明らかとなった。
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