研究概要 |
これまでの研究成果をチェックし,かつそれを市民に還元すべく,中間報告として公開講座を昭和62年11月6〜21日の6日間催した. 篠崎は,小樽運河問題は環境アメニティー財の追求を本質とするとの総括を行い,長谷川は歴史的分析から人口の空洞化現象を指摘し,中心市街地再開発の必要を説いた. 中は,企業の競争戦略と情報・管理システムの分析と経営者のパーソナリティー分析とを重ね合わせ,他都市に比して小樽の経営者のパーソナリティーは,より保守的な製品戦略,よりリスク回避的な行動,短期の時間的視野の性向を有することを指摘した. 一方,井桐は都市再開発と商業振興の連動性を論じ,統合的デベロパーによる指導力の行使こそが商業システケの高次な統合をもたらすものであり,小樽においてはそれが可能であると論じた. また,猪股は,市民意識アンケート調査の分析にもとづき,運河の埋立て保存については,半分埋立て半分保存の現状肯定意見が47.6%ありながら,臨港線の6車線拡張については,別ルート意見,不必要併せて49.4%にも達すると報告した. 樋口は,小樽市社会経済の人口を中心としたシステム・ダイナミックスモデルの分析を行い,年令階層別に見た場合に,高令化構造が予想されるところから,高令化社会を前提とした基盤整備の必要を説いた. 安田は,小樽が大牟田と並んで,人口10万以上の都市で過去20年間人口が減り続けている唯一の都市であると断った上,都市の成長と衰退の流れからみた再活性化への基本戦略として,同じ港湾でもアメニティー港湾を,中心部再開発はリハビリ修景型を,さらに住宅都市として意識的に札幌に組込むことを提言した.
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