研究課題
一般研究(A)
磁気中性線に沿って数ケ月も存在し続ける1万度の太陽プロミネンスは、その囲りは百万度を越えるコロナに囲まれている。皆既日食観測から、プロミネンスをとりまくコロナ域のプラズマ粒子密度は少ないことがわかっている。プロミネンス・プラズマの流出入、エネルギーの流れ等からプロミネンスの安定性を調べることを目的とする。更に、大気振動に従うプロミネンスの振動運動や、コロナ輝線の振動についても検出を試みる。この目的の為に、乗鞍コロナ観測所の25cmコロナグラフ付属の大型分光器カメラ部にCCDカメラを3台取りつけた。分光器の出力光が微弱であるため、光量積分時間を長くするので、CCDチップは、スロースキャンTV方式で有効に動作することが必要である。更に、感度が高く、青感度良く、ノイズが少なく、開合率高く、反射光バック、干渉縞、チップ欠陥の少ないという條件から、SANYO製を選んだ。CCDチップの暗電流を低く押えるため、CCD全体を冷却した。暗電流を無視できる程度に押えるためには+5゜Cに冷やせば露出時間が3秒、-3℃なら10秒の露出時間が可能であることがわかった。プロミネンスの【H_2】線(6563【A!゜】)、【H_B】線(4861【A!゜】)やHe線(10830【A!゜】)では約3秒の露出時間でスペクトルの輪郭を得ることができる。コダック2415フィルムと比較して1〜4倍感度が良いことがわかった。CCDカメラの出力は、512×480×8bitの分解能でA/D変換される。一画面の情報量は3台のカメラで720KBとなり、この多量のデータを記録するために光デイスクを使用している。セイコー製9100【II】Lコンピューターによって望遠鏡、イメージ・プロセッサー,光ディスクが制御される。プロミネンスの【H_2】線、【H_B】線、Ca【II】K線、Heの【D_3】線などのスペクトル観測を行い、速度場輝度変化等を解析している。
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