1. 遠隔測定式多地点用熱流量計による海底地殻熱流量の超高密度測定は以下のように行なった。 (1)ペルー沖海溝地域でODP site surveyの一環としてハワイ大学研究船・モアナウェーブ号を使用して測定を実施した。 (2)日本海でDELPの一環として、若潮丸を使用して測定を実施した。 (3)函館海洋気象台の協力により、高風丸を使用して日本海溝地域で測定を実施した。 2. 陸上地殻熱流量測定は、多素子埋め込み式熱流量計と、当研究室で開発した長時間地下温度自動記録装置を併用し、従来測定が不可能とされていた深さ100m程度の掘削孔で測定を行なう技術を確立した。その結果アサイスミックフロントから火山フロントまでのデータの空白域を解消することができた。 3. 道立地下資源調査所の協力により、温度検層記録を整理し、北海道内で新たに50点をこえる地殻熱流量データを得た。 4. 地殻を構成する岩石の放射化分析を行ない、発熱量の測定を実施した。これにより表面地殻熱流量のなかで、どの程度が地殻内の放射性元素による発熱かを推定した。 5. 上記の実験に基づき、地殻内発熱を考慮した東北日本の地殻内の温度構造をモデル計算により推定した。 6. 沖縄トラフで観測された異常高熱流量を説明するための理論的考察を行ない、モデル計算を実施し、観測値を説明するモデルを得ることができた。
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