1.幌満超塩基性岩の鉱物化学と組織を調べて、上部マントルにおける地質過程を読み取る事を試みた。lherzoliteとpl lherzoliteの中にみられるopx+cpx+spやpl+ol+jpからなる細粒鉱物部はgarnetの分解物、もしくは反応物であることが判った。又、幌満岩体の少なくとも下位半分は、従来の見解とは異なり、residueである。このように、この岩体は高圧相から低圧相への変化を記録している。さらにこの岩体は海嶺に起源を有するらしい。 現在岩石中に凍結されている平衡温度はマグマの温度より低く、他の高温型超塩基性岩体より発達の貧弱な輝石中のラメラ等から判断すると、residueを生じた部分融解はgarnetの分解より地史的にずっと前の事件であったらしい。 2.脱水分解反応に伴う元素の移動を明らかにする目的で、海洋底に堆積した泥質物が脱水分解反応を行ったことが確認される変成帯において地球化学的研究を行った。具体的には、四国中央部に分布する三波川泥質岩を用い、変成度の上昇(脱水分解反応の進行)に伴う微量元素含有量の変化を求めた。その結果、イオン半径の大きな微量元素がより流体相に濃集する傾向がえられた。 3.ピストン-シリンダー型高温高圧発生装置を完成した。 長期的な圧力の安定性の向上に意を払った。約3GPa、かつ室温の条件下において連続3週間にわたる検査の結果、圧力の漏れは少なく、変動の殆どは室温の変化によるものであった。当初予定していた圧力スケールのカリブレーションは次年度にもちこされた。
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