研究概要 |
1.北海道の日高変成帯に貫入している、幌満かんらん岩体にかんする報告を昨年度に行った。Spinel lherzolite相とplagioclase lherzolite相とが同じ岩体内で共存することが問題点として残されていた。この内容は、次のように理解できる。すなわち、Spinel lherzolite相を示すorthopyroxene+Clinopyroxene+spinelの鉱物組合せ部と、plagioclase+olivine+spinelの組合せからなる部分とでは、後者に【Na_2】Oが多く、このことのためにplagioclase lherzolite相とspinel lherzolite相とを境する反応曲線の位置がずれている。このこと自体は実験的に、また、理論的に知られていたことであるが、一つの岩体の中から見つかったのは、これが初めてであろう。 2.Kimberlite中のgarnet lherzolite xenolithから分離した、olivine,orthopyroxene,Clinopyroxene,garnetを長時間、種々の温度と圧力の下において元素を再分配させた run productsをelectron microprobeと反射電子線像観察装置をもちいて解析した。piston-cylinder型の高圧装置のように一軸加圧の装置でも、toliationの発達した組織はみられない。鉱物は等粒状であり、garnetなどでは反射電子線像で結晶外形に平行なchemical zoningが観察できた。また、特にgarnetでは、結晶内の破壊面と判断される部位に沿って化学組成が変化しており、元素の再分配の過程で、internal difusion以外にも、grain boundaryに沿ったdiffusionが、確かに効果的に働いていることが判明した。
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