本年度は主として数値空気力学の手法を応用して有翼飛しょう体まわりの流れを解析することになっているが、次のような結果が得られた。 1.低速および高速における飛しょう体の空力特性の計算 低速における特性はパネル法によって計算をおこない、高速(極超音速)における特性はニュートン流近似を用いて計算する。方法としては、まず、宇宙科学研究所で開発されたチップフィンをもち、V形尾翼のミニスペースシャトルを参考に有翼飛しょう体の設計をおこない、このモデルの表面を多くのパネルに分割し、各パネル面上の圧力分布を計算し、これを積分して空力特性を求める。現在、有翼飛しょう体の設計および計算プログラムが完成し、計算中である。 2.再突入空力加熱の解析 飛しょう体表面の熱伝達量の評価をするため、空気の解離・再結合反応を考慮した衝撃層モデルを用いて数値計算プログラムを完成し、目下、その計算をおこなっている。NASAスペースシャトルの再突入データを借用して、これを計算条件とし、また、飛しょう体形状としてハイパーボロイドを選択している。この形状に対して合理的な結果を得た後、上述の飛しょう体モデルに対して数値計算をおこない、主として風上側(飛しょう体下面)中心線上の熱伝達量を求める。
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