研究概要 |
本研究は電力系統間の電力の過不足を融通しあう新しい方式の開発を目的とする。ここで提案した新しい方式は系統の連結部に超電導エネルギー貯蔵装置を設置することによって、有効電力と無効電力を独立に制御し、従来にない系統の安定度の向上と運用の効率化を計る。 当初、GTOによる強制転流領域の制御が可能であり、交直変換装置の遅れ角から進み角までの調整が採用できる点に注目し、GTOによる試みを考えた。従来、電力用としてはGTOのオンオフを多数回繰り返すことは避ける傾向にあったため、我々は各々1回のオンオフで120°幅の電流幅を切り換える方式を考えていたが、変換技術の検討を続けた結果ある程度のオンオフ回数を多く取ることが可能であることが判明した。従ってこの場合、パルス幅制御方式を採用し、有効(P)・無効(Q)電力の同時制御が全域で可能となる。この方式は制御回路等が複雑になるが、大容量の変換装置を製作する場合には電力部分の装置が半分になるという大きな経済性のメリットが期待できる。以上の理由から、当初の120°幅一定のダブルブリッヂ方式からパルス幅制御方式のシングルブリッヂ方式に変更し、装置を完成させた。 次にエネルギー貯蔵用超電導マグネットに関しては、実規模の設備を想定して電力系統における潮流計算等を行い、これをスケール則で小型化することによってマグネットに要求されるエネルギー,電流,パルス動特性等を決定し、さらに、研究代表者らが開発したマグネット構造を採用し、100KJのエネルギー、7T/3秒の立ち上げ・立ち下げが可能なマグネットを製作した。 次年度以降では、PWM制御によるP,Q同時制御装置を開発し、更に60KVA程度の発電機(実機)との連係を計る目的の実験を計画しているので、このための周辺機器、及びプログラム等の整備並びにフィールドテストを行う見通しがついている。
|