研究概要 |
希土類-鉄族(RE-TM)アモルファス膜は、光磁気記体として研究開発が進められ、実用化も目前にせまっているが、RE-TM膜自体の基礎的物性に関する問題(磁気光学効果など)はほとんど未解決のままである。本研究は、この問題の解決を通じて光磁気記録媒体の飛躍的性能向上を目ざすものである。 今年度の研究においては、高耐食性Tb-Fe-Co-Al膜の耐久性に関する実験および各種RE-TM膜の磁気光学効果に関する基礎的実験を行った。 (1)高耐食性光磁気記録膜(Tb-Fe-Co-Al膜) AlおよびCo添加量を変えながら種々の環境条件のもとで耐食性の評価を行った。膜の腐食の形態は、(a)Tbの選択的酸化、(b)ピンホールの発生、(c)表面から内部への酸化層の進行などに分けることができ、我々は先にAlの添加が(b)に対して有効なことを示した。本年は(c)について実験的検討を行い、酸化層の進行過程の反応速度を解析したところ、10%のAl添加によって反応の活性化エネルギーは0.7eVから1.7eVに大きく増加していることが分かった。このことから推定すると室温での膜の寿命は【10^7】倍長くなることになる。 (2)Gd-Fe膜の磁気光学力一効果 室温から極低温(10K)までの温度で磁気光学力一回転角ΘKを測定した。その結果ΘKの温度特性は、Fe-Fe間の交換相互作用の大きさに分布を仮定して求めたFe副格子磁化の温度特性とよく一致した。 (3)希土類(Gd,Tb,Dy,Nd,La,Y)-Co膜の磁気光学効果 希土類とCoの組成比を変え力一回転角の組成依存性を求めた。ΘKはCoの磁気モーメントと同様の温度変化をするが、Co副格子磁化との比例関係は希土類高濃度側では成立しない。これは希土類がΘKに寄与していることを示唆している。
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