過去3年間の結果を総括し理論的な検討を加えるとともに、これまでの結果を補足する実験を行なった。主な成果は以下の通りである。 1.磁気光学効果 NdCoアモルファス合金におけるNdの磁気光学効果への寄与を検討した。Ndの副格子磁化の大きさ、光学定数等を考慮し、NdCoとYCoの導電率テンソル非対角項のスペクトルの違いからNdの寄与を見積った。その結果スペクトルの形状はNdの4f電子の5d状態への遷移として説明できたが、絶対値については、簡単な1電子モデルでは説明が難しく、多電子効果を考慮する必要があるものと思われる。 これまでの研究から一般に希土類鉄族合金では、多数スピンの方向を基準にした場合、重希土と軽希土では磁気光学的寄与の符号が異なっていることが分った。この原因は軽希土では多数スピン電子が、重希土では小数スピン電子が遷移しているためと考えられる。 2.スパッタ膜の垂直磁気異方性 これまでTbCo、HoCo、ErCoについて、スパッタ膜の垂直磁気異方性への基板バイアス効果を調べた。0Vから-100Vのバイアス電圧変化によってTbCo、HoCoでは異方性が増加したが、ErCoではほとんど変化しなかった。GdCoで異方性が増加することを考えると、Erの1イオン異方性は垂直異方性を低下させる方向に働いているものと推定される。 3.短波長記録用2層膜 NdCo系膜とTbFe系膜を交換結合することによりTbFe系よりも短波長(400nm)での磁気光学効果が大きく、角形比がほぼ1となる膜が得られた。
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