1.レーザー可視化システムに関して:レーザー可視化装置を新たに作成し、層流型クリーンルーム及び乱流型クリーンルーム内の気流性状の詳細な可視化実験を行ない、数多くの可視化画像(スチール写真、ビデオ画像)を得ることに成功した。層流型クリーンルームの可視化画像から以下の結論が得られた。(1)層流型クリーンルーム内に設置された直方体の製造装置モデルの側面にははく離渦を生じ、渦中の汚染質は停滞し易い。(2)装置側面のはく離域で気流の吸い込みを行なうことははく離渦を解消させることに有効である。(3)装置を壁際に接して配置する場合には、壁際の装置上部に定在渦が形成され汚染質が停滞し易くなるので、壁との間に隙間を設けることが望ましい。(4)人間は装置から離れて近傍に立っているだけでは装置上部の気流性状に影響を及ぼさないが、前かがみの状態になると、装置上部に大きな滞留域が生じる。(5)天井吹出面に照明器具等の障害物があると気流が乱れ、この乱れは減衰せずに床面まで到達する。乱流型のクリーンルームに関しては、可視化画像と3次元乱流数値シミュレーション結果を比較検討し、特徴的な領域(吹出口間の上昇流等)で両者が良く一致することを確認し、数値シミュレーション結果の良否の判定に可視化画像が有効であることが判った。又、画像処理が可能となるような写真を得るためのトレーサーの発生方法についても検討を行ない、従来の噴霧器で発生させる方法の他に、プロペラを回転させることにより、対象となる気流に対する影響を少なくし、トレーサーの量をコントロールできる発生方法についても検討を行った。 2.レーザー流速計に関して:機種の選定を行い、納入されたレーザードップラー流速計について性能試験を行なった結果、最初の目的に十分満足するものであることを確認した。今後、レーザー可視化システムと同期させ、両者の結果についての比較検討を行なう予定である。
|